夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

080 カハラオプナ:(5) あかんべーの男たち

(前回からの続き) あかんべーの男たち こうして、彼女のこの上ない愛らしさが大変な評判になり、この谷の隅々にまで広まったのでした(*1)。 そしてこの噂は2人の男、クマウナとケアワア、の耳にも入りました。 2人はともに下瞼(したまぶた)が萎縮して、醜(…

079 カハラオプナ:(4) マノアのプリンセス

(前回からの続き) 半ば神のような人 カハラオプナは幼い頃からカウヒの許嫁(いいなずけ)で、そのカウヒはコオラウ(モク)・カイルアの若い首長でした(*1)(N.1)。 彼の両親は、息子が将来「マノアのプリンセス」と結婚すると言う栄誉に、大変な気遣(きづか)いをし…

078 カハラオプナ:(3) カハラオプナの光明

(前回からの続き) カハラオプナの家 カハラオプナのために1つの家が建てられました(*1)。 その場所はカハイアマノで、ワイアケクアに向かう道の途中でした。 彼女はそこに、数人の従者と共に住みました。 家はドラセナの垣根(かきね)で、周囲を取り囲まれて…

077 カハラオプナ:(2) マノアの風と雨

(前回からの続き) 双子の子が養子に出る アカアカとナレフアアカアカには、双子の子供がいました(*1)。 カハウカニという名の男の子と、カウアクアヒネという名の女の子でした。 この子らは生まれると直ぐに、アカアカの従兄弟(いとこ)2人のもとに養子に出…

076 カハラオプナ:(1) マノア渓谷

(新しいお話しの始め) 渓谷に突き出た尾根アカアカ 「アカアカ(笑い)」 は、1つの突き出した尾根です(*1)(N.1)(N.2)。 それはマノア渓谷の一番奥にあり、背後の山岳地帯から渓谷内に突き出ています(N.3)。 そうです、アカアカは尾根という形を取りながら、ワ…

075 カペエペエカウイラ (カナの岩):(18) 最後はカナの勝利

(前回からの続き) 2度目の戦いの準備は万全 こうしてカナは遂に、太くたくましい体になりました(*1)。 そこで彼はもう一度、カペエペエカウイラと戦うために準備をしました。 食料はワイピオ渓谷から大量に取り寄せました。 準備が整(ととの)うと彼らは再び…

074 カペエペエカウイラ (カナの岩):(17) カナが太りニヘウは怒る

(前回からの続き) カナがハワイ島コナに横たわる ニヘウは、カナが敗れたと知ると、こう叫びました(*1)。 「ハワイ島のコナを目ざして、横になるんだ そう、あんたの祖母ウリが居る所だよ。」 そこでカナは、長く伸ばした体を、コナの地に横たえました。 しか…

073 カペエペエカウイラ (カナの岩):(16) カナの力が尽きる

(前回からの続き) カナがハウプの頂上を奇襲 「そうだ。」 と言って、カナは立ち上がりました(*1)。 戦いを前に、彼の一方の脚はケアウエア、そして他の足はカイパネアと命名されました。そしてカヌー上で仁王立ちになると、カナは自分の体を上へ上へと伸ばし…

072 カペエペエカウイラ (カナの岩):(15) ヒナが逃げる

(前回からの続き) カペエペエカウイラが戦いを決意 カペエペエカウイラは限りなく深く、ヒナを愛していました(*1)。 そのカペエペエカウイラが、こう主張しました。 「敵がどう攻めようが、ハウプには指一本触れさせないぞ。 見よ、このハウプの丘は、天まで…

071 カペエペエカウイラ (カナの岩):(14) ヒナを連れ出す

(前回からの続き) 母ヒナが住む家に押し入る 3回目の挑戦で、ニヘウはようやく上陸に成功しました。 そして、そのままハウプの頂上まで登りました。 ヒナが住んでいる家ハレフキに着くと、彼はすぐさま中に入りました。 「お前、なぜ入ったんだ? このドアは…

070 カペエペエカウイラ (カナの岩):(13) ニヘウの上陸

(前回からの続き) 滑って転んだのさ そうしているうちに、カナはニヘウに命じて、母を捜(さが)しに行かせました(*1)。 「和(なご)やかにやるんだぞ。」 と、カナが言いました。 ニヘウはピョンと、岸へ飛び降りました。 しかし、つるつるした岩の上で滑って、…

069 カペエペエカウイラ (カナの岩):(12) カヌーが浅瀬に着く

(前回からの続き) マストが枝にからまる そしてついに、深い夜の闇の中から、夜明けの兆(きざ)しが見え始めました(*1)。 ちょうどその時、カヌーの帆柱(マスト)が木々の枝に、引っかかり出しました。 ニヘウがその枝をめがけて、勢い良く石を投げると見事に…

068 カペエペエカウイラ (カナの岩):(11) 怪物たちを倒す

(前回からの続き) 巨大な怪物がやって来る しばらくすると、ニヘウが再び大声で呼びました(*1)。「なんてこった、まただ、ワシら死んじまうぞ。 ほらこっちに、バカでかい怪物がやって来るぞ。 もし奴が襲って来たら、ワシらみんなお陀仏だぜ。」 怪物魚の鼻を…

067 カペエペエカウイラ (カナの岩):(10) 暗礁そして水の壁

(前回からの続き) 暗礁に乗り上げる 彼らは先へ先へと進み続けましたが、やがて硬い暗礁に乗り上げ、 カヌーが座礁してしまいました(*1)。 するとニヘウが大声で呼びました。 「見ろ! あー、あんた眠ってるのか、カナ。 その間に、ワシらみんな溺れ死んじま…

066 カペエペエカウイラ (カナの岩):(9) カヌーが出来た

(前回からの続き) あの灌木を引き抜けるか? これを聞いカナは、小さな一本の木を指差して、ニヘウにこう言いました。 「お前、あの木を引き抜けるか?」 「出来るさ、」 とニヘウは答えました。 何故(なぜ)ってそれは、ただの1本の小さな木、だったのですから…

065 カペエペエカウイラ (カナの岩):(8) カナを味方につける

(前回からの続き) 体を温めてから話して下さい それから、カナはこの老人(ハカラニレオ)に言いました(*1)。 「さあ、まずはこの火で、あなたの体を乾かしなさい。 そして暖まったら、あなたの身に何が起きたのか話して下さい。」 老人は言われた通りにしました…

064 カペエペエカウイラ (カナの岩):(7) カナを訪ねる

(前回からの続き) ハカラニレオがやって来る と言うことで、彼ら2人は出かけました(*1)。 しかし、ニヘウは父の先に進み出ると、そのままどんどん走り続けました。 そして、ウリが育てた男・カナに、こう伝えました(N.1)。 「見て! あそこにハカラニレオがや…

063 カペエペエカウイラ (カナの岩):(6) ニヘウが父を連れ戻す

(前回からの続き) ニヘウが噂を聞きつける そうこうするうちに この噂が、『ならず者』の異名を持つ、ニヘウの耳に入りました(*1)。 「一人のオヤジが、この道を通って行ったぜ。 そいつは誰か出来る奴、そいつの妻を取り返せる勇者、を探していたよ。」 ニヘ…

062 カペエペエカウイラ (カナの岩):(5) 英雄にも頼れない

(前回からの続き) ニウロイヒキに会う こみ上げる悲しみを露(あら)わに、ハカラニレオはさらに進みました(*1)。 そしてやって来たのは、あの有名なニウロイヒキの所でした。 彼は前の時と同じように、ニウロイヒキの問いに答えながら、 これまでの経緯(いき…

061 カペエペエカウイラ (カナの岩):(4) カマララワルと石

(前回からの続き) カマララワルに出会う それ以来、彼は妻を取り戻せそうな、パワフルな人を探して、あちこち出かけました(*1)。 あてもなく放浪する中で、彼が最初に訪(たず)ねたのはカマララワル、 力持ちで勇気がある、と評判の男でした。 この男は、悲し…

060 カペエペエカウイラ (カナの岩):(3) 嘆き悲しむヒナの夫

(前回からの続き) 島の反対側に住む人々を集める この知らせがカペエペエカウイラに届けられると、彼はすぐさま島の反対側に使者を送りました(*1)。 ケオネクイナからカラマウラまでの地域の、全ての人々を招集するためです(N.1)。 というのは、もう私たちは…

059 カペエペエカウイラ (カナの岩):(2) あなたの妻になりましょう

(前回からの続き) この伝説は、次のように伝えられています(*1)。 ペレクヌ渓谷にヒナがやって来た ケアホレは父、ヒイアカ・ノホラエは母、そしてカペエペエカウイラは息子でした。 このカペエペエカウイラは毛深い男で、ハウプの尾根に住んでいました。 そ…

058 カペエペエカウイラ (カナの岩):(1) モロカイ島北岸のハウプ

(新しいお話しの始め) モロカイ島北岸の断崖と渓谷 モロカイ島北側の海岸には、黒い岩が切り立つ断崖絶壁があります(*1)(N.1)(N.2)。 それは 島の東端から始まって30Km近く続き、高さは240mから600mまで変化しています。 海と対峙(/たいじ)しつつ延びる、こ…

057 ヒクとカウェル:(12) カウェルの目覚め

(前回からの続き) カウェルの目覚め カウェルは遂(つい)に意識を取り戻しました(*1)。 そして愛するヒクが彼女の方に、優しく身をかがめているのを見て 唇を開いてこう言いました。 「私を置き去りにするなんて、どうしてそんなに冷たくなれるの?」 「死者…

056 ヒクとカウェル:(11) ロミロミと生命の息吹

(前回からの続き) かけがえのない荷(カウェルの魂)を携えて、彼らはホルアロアの海岸に戻って来ました(*1) 上陸するとすぐに、ヒクは愛する人の体がまだ置かれている建物に行きました。 カウェルの魂を肉体に閉じ込める その体の横に膝まづくと、彼は左足の…

055 ヒクとカウェル:(10) カウェルの霊を連れ戻す

(前回からの続き) 王の許しで 2人でブランコに乗る ヒクとカウェルはお互いに、相手が愛する人であると気付きました(*1)。 そこでミル王のお許しを得ると、彼女は矢の如く彼の元へ飛んで行きました。 そしてコワリ(ブランコ)に乗ると、彼と一緒に揺らせたの…

054 ヒクとカウェル:(9) 死者の世界

(前回からの続き) 死者の世界に入る やがてヒクは、とてつもなく大きな洞窟に入りました(*1)。 そこには、死者たちの霊が寄り集められていました。 ヒクが霊たちの間に入って行くと、彼らは好奇心にかられました。 「一体、この男は何者なんだろう?」 ヒクの…

053 ヒクとカウェル:(8) 地の底に向けて出発!

(前回からの続き) 海の果てに着く 山のように荷物を積み込んだカヌーに乗って、ヒクは仲間たちと一緒に出発しました。 めざすは、はるか彼方の海の一点、大空が上から下りて来て、海と出会う所です。 その地点に着いた彼は、これから苦楽を共にする仲間たち…

謹賀新年

新年おめでとうございます。 今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

052 ヒクとカウェル:(7) コワリのつると死臭のオイル

(前回からの続き) コワリの蔓(つる)を集める ヒクは、カウェルの友達たちに手伝ってもらいながら、 山の斜面から膨大な量のコワリ、すなわちセイヨウヒルガオ属の蔓(つる)、を集めました(*1)(N.1)。 ココナッツの殻を用意する 彼はさらに、中空のココナッツ…