夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

080 カハラオプナ:(5) あかんべーの男たち

(前回からの続き)

あかんべーの男たち

こうして、彼女のこの上ない愛らしさが大変な評判になり、この谷の隅々にまで広まったのでした(*1)。

そしてこの噂は2人の男、クマウナとケアワア、の耳にも入りました。

 

2人はともに下瞼(したまぶた)が萎縮して、醜(みにく)い顔になっていました。

そして、マカへレイ(あかんべー)と言うあだ名で、人々に知られていました(N.1)。

 

彼女への想いを胸にワイキキへ

この男たちのどちらも、これまでカハラオプナにあったことなど、全くありませんでした。

それなのに2人は、彼女の噂(うわさ)を聞くうちに、彼女に恋してしまったのでした。

 

しかし自分たちが醜(みにく)いが故に、あえて彼女に直(じか)に会って、プロポーズしようとはしませんでした。

 

その代わりに彼らは、マイレ、ジンジャーさらにシダで レイ(花輪)を編みました(N.2)。

そのレイで着飾ると今度はワイキキの浜辺に繰り出して、サーフィンを楽しんだのでした。

(次回に続く)

 

 

(ノート)

(N.1) マカヘレイ(makahelei):

マカヘレイとは、日本では眼瞼外反(がんけんがいはん)症と呼ばれる病気で、下瞼(まぶた)が外に反り返って「あかんべー」をしている状態になります。かつてのハワイでは、アウマクア(家族神)のカプを破った罰として発症する、と言われていました(S.M.Kamakau; The People of Old 90)。

(N.2) マイレ(maile), ジンジャー(ginger), シダ(ferns):

(N.2.1) マイレ:

マイレは、学名が "Alyxia stellata((同義語)Alyxia olivæformis)" の植物のハワイ名です。

マイレの葉は最も伝統的なレイの材料で、その香り高さが特徴です。レイの形状は輪ではなく、一本の紐(ひも)のように仕上げます。

今でも誕生日、結婚式、卒業式などに際して、このレイを贈ってお祝いします。

結婚式では花婿が身に着けるように、男性に贈られるのが一般的です。フラの世界ではマイレは神聖な植物で、フラの女神ラカ(Laka)に捧げられます。

 

(N.2.2) ジンジャー:

レイに使われるジンジャーの代表格は、ホワイト・ジンジャーとイエロー・ジンジャーです。

ジンジャーの花で作るレイは、手間がかかり高価ですが、その上品な美しさもまた格別です。

 

(N.2.3) シダ:

レイに使われるシダのハワイ名はパラパライ、和名イシカグマ、学名Microlepia strigosaです。

パラパライの葉だけでレイを作ったり、他の葉や花と一緒に編み込んだりします。フラでは、このレイを手首や足首に着けて踊ることも少なくありません。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.