(新しいお話しの始め)
モロカイ島北岸の断崖と渓谷
モロカイ島北側の海岸には、黒い岩が切り立つ断崖絶壁があります(*1)(N.1)(N.2)。
それは 島の東端から始まって30Km近く続き、高さは240mから600mまで変化しています。
海と対峙(/たいじ)しつつ延びる、この広大な絶壁を遮(さえぎ)るのは、 4つのロマン溢(あふ)れる渓谷だけです。
それが、ペレクヌ、プアアハウヌイ、ワイラウ、そしてワイコルの各渓谷です。
2つの渓谷を分かつハウプ岬
ペレクヌ渓谷とワイコル渓谷の間には、力強く鋭いハウプ岬が突き出し、両渓谷を分かつ尾根を成しています。
そしてこの岬はどこか、刃先を上に向けた斧頭(ふとう)、を思わせる所があります。
岬の先にハウプの岩が並ぶ
海の中では、この岬と一直線に並んで、海底から30から40個の棒状の岩が突き出しています。
その一部が突如として、深く青い海から海面上に現われたのが、ハウプの岩です。
それは3,4個の鋭い針状の岩から成り、高さは6mから30mの範囲で変化しています。
ここそが、カペエペエカウイラの伝説の縁(ゆかり)の地なのです。
これらの岩たちは、厳(いかめ)しい表情で任務にあたる、番兵のように立っています
そうです。今では 「カラワオ居留地」の名で知られる地域の、東の端に立つあの番兵です(N.3)。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) 執筆者フォーブス(Rev.A.O.Forbes):
このお話しの執筆者フォーブスさんはハワイ・モロカイ島で生まれ、米国ワシントン・カレッジ、プリンストン神学校で学びました(*2)。
その後ハワイに戻り、牧師としてハワイ各地で活動し、1888年に亡くなりました。
(N.2)モロカイ(Molokai)島:
モロカイ島は、ハワイ諸島を構成するの主要8島の一つで、オアフ島とマウイ島の間にあります。
島の形状は東西に細長く、東西方向には約60kmありますが、南北方向は約15kmです。
(N.3)カラワオ居住地(settlement of Kalawao):
カラワオ居住地は、ハンセン病患者を隔離するために、1866年ハワイ王国により設けられました。
当初はモロカイ島のカラウパパ半島東側にありましたが、その後、同半島西側のカラウパパ(Kalaupapa)にも設けらました。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.
(*2) Hawaiian Mission Children's Society(1901):Portraits of American Protestant missionaries to Hawaii, p.96.