夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

058 カペエペエカウイラ (カナの岩):(1) モロカイ島北岸のハウプ


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(新しいお話しの始め)

モロカイ島北岸の断崖と渓谷

モロカイ島北側の海岸には、黒い岩が切り立つ断崖絶壁があります(*1)(N.1)(N.2)。

それは 島の東端から始まって30Km近く続き、高さは240mから600mまで変化しています。

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海と対峙(/たいじ)しつつ延びる、この広大な絶壁を遮(さえぎ)るのは、 4つのロマン溢(あふ)れる渓谷だけです。

それが、ペレクヌ、プアアハウヌイ、ワイラウ、そしてワイコルの各渓谷です。

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2つの渓谷を分かつハウプ岬

ペレクヌ渓谷とワイコル渓谷の間には、力強く鋭いハウプ岬が突き出し、両渓谷を分かつ尾根を成しています。

そしてこの岬はどこか、刃先を上に向けた斧頭(ふとう)、を思わせる所があります。

 

岬の先にハウプの岩が並ぶ

海の中では、この岬と一直線に並んで、海底から30から40個の棒状の岩が突き出しています。

 

その一部が突如として、深く青い海から海面上に現われたのが、ハウプの岩です。

それは3,4個の鋭い針状の岩から成り、高さは6mから30mの範囲で変化しています。

 

ここそが、カペエペエカウイラの伝説の縁(ゆかり)の地なのです。

 

これらの岩たちは、厳(いかめ)しい表情で任務にあたる、番兵のように立っています

そうです。今では 「カラワオ居留地」の名で知られる地域の、東の端に立つあの番兵です(N.3)。

(次回に続く)

 

(ノート)
(N.1) 執筆者フォーブス(Rev.A.O.Forbes):  

このお話しの執筆者フォーブスさんはハワイ・モロカイ島で生まれ、米国ワシントン・カレッジ、プリンストン神学校で学びました(*2)。

その後ハワイに戻り、牧師としてハワイ各地で活動し、1888年に亡くなりました。

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(N.2)モロカイ(Molokai)島:

モロカイ島は、ハワイ諸島を構成するの主要8島の一つで、オアフ島マウイ島の間にあります。

島の形状は東西に細長く、東西方向には約60kmありますが、南北方向は約15kmです。

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(N.3)カラワオ居住地(settlement of Kalawao):

カラワオ居住地は、ハンセン病患者を隔離するために、1866年ハワイ王国により設けられました。

当初はモロカイ島のカラウパパ半島東側にありましたが、その後、同半島西側のカラウパパ(Kalaupapa)にも設けらました。

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(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.

(*2) Hawaiian Mission Children's Society(1901):Portraits of American Protestant missionaries to Hawaii, p.96.