夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

2024-01-01から1年間の記事一覧

163 カアラとカアイアリイ:(17) 愛し合う2人の別れ

(前回からの続き ) 愛するカアラとの別れ さて意を決した英雄は、涙を流して泣く少女(カアラ)の、固く握っていた手を放しました(*1)。 彼の目は冷静で落ち着いていました。 しかし彼の閉じた口は、強く優しい愛の心の奥底、を表わしていました。 彼はこの短…

162 カアラとカアイアリイ:(16) 行きも帰りも空を飛べ

(前回からの続き ) あなたは私の生きる力 あの可愛らしいジャスミン(カアラ)は、彼の首に両腕を巻き付けました(*1)。 そして、彼の胸に頬(ほほ)を擦り寄せながら、ちらっと顔を見上げてこう言いました。 「おお私の首長よ。あなたは私に、生きる力と素晴らし…

161 カアラとカアイアリイ:(15) 行きなさい、愛するカアラよ!

(前回からの続き ) カアイアリイが愛を語る 英雄はたくましい片腕を若き恋人に絡(から)ませて、しっかりと抱きしめました(*1)。 そして彼女の目をじっと見つめながら愛情を込めた手で、輝く髪を額(ひたい)から払い除(の)けました。 こうして彼は、自らの生き…

160 カアラとカアイアリイ:(14) 母の危篤を知る

(前回からの続き ) 父が母の危篤を告げる さてその朝、血色良い茶色の頬(ほお)の少女(カアラ)は、眩(まぶ)しい愛の兆(きざ)しに顔を紅潮させながら、 ご主人(カアイアリイ)の小屋の入口に立ちました。 彼女の顔面は、太陽の光を受けてキラキラと輝いていまし…

159 カアラとカアイアリイ:(13) 父の怒りと決意

(前回からの続き ) カアラの父が嘆く これを見て、頑丈そうだが白髪混じりの島の男が、泣きながら声を張り上げて訴えました(*1)。 「カアラよ、私の子カアラが行ってしまった。 私がオフアを槍で突く漁から帰った時、一体誰が、私の手足の疲れを癒してくれる…

158 カアラとカアイアリイ:(12) さあ勝利の宴だ

(前回からの続き ) 大王がカアイアリイの勝利を宣言する 「よーし!」 と 大王が叫びました(*1)。 「我らの若者(カアイアリイ)は、カネコアのように強いぞ(N.1)。 さあ、我らの娘さん(カアラ)に、彼女が愛する人の手足をもんで、癒してもらおう! 彼の皮膚を…

157 カアラとカアイアリイ:(11) マイロウが倒れる

(前回からの続き ) 攻撃のチャンスを狙う そして今や、彼らは両腕を高くかざして、互いに相手を引き寄せ合いながら、満身の力を込めて両手のひらを広げます(*1)。 それはちょうど、筋骨隆々としたカニのハサミが、獲物にぐいっと掴(つか)みかかろうとしてい…

156 カアラとカアイアリイ:(10) 決闘が始まる

(前回からの続き ) 大王がコウの木の日陰に座る 闘(たたか)いの時が、刻一刻と近づいて来ました(*1)。 大王は、葉の生い茂ったコウの木の下に、座りました(N.1) 。 かつてコウの木は、「高貴な木」とされていたのです。 しかし王族たちがいなくなると共に、か…

155 カアラとカアイアリイ:(9) カアラを襲う恐怖と愛

(前回からの続き ) カアラを襲う恐怖 可愛そうな乙女(カアラ)は、もとより残忍な剛腕者も意に介さない人でした(*1)。 しかしボーン・ブレーカーと言う、あの恐ろしい名前を聞くと、彼女は両手を組んで高く掲げて、全身で驚きを表わしたのでした。 と言うのも…

154 カアラとカアイアリイ:(8) カアラは決闘で勝ち取れ!

(前回からの続き ) 勇猛なカアイアリイ カアイアリイは、数多くの虐殺者と同じように、見かけは立派(りっぱ)でした(*1)。 彼はライオンのように勇猛な心の持ち主で、肌はライオンのような黄褐色でした(N.1)。 カールした眉毛(まゆげ)の後ろからは、浅黒い上…

153 カアラとカアイアリイ:(7) 二人の出会い

(前回からの続き ) そよ風がカアラのスカートを揺らす あの「甘い香りの娘」 カアラには、まさか自分が悲惨な目に遭うとは、思いもよりませんでした(*1)。 というのは、まるで緑の剣の束のように彼女の腰から垂れ下った、ラーイー(ドラセナ)の長い葉を、遊び心…

謹賀新年

新年おめでとうございます。 今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。