(前回からの続き)
カハラオプナの家
カハラオプナのために1つの家が建てられました(*1)。
その場所はカハイアマノで、ワイアケクアに向かう道の途中でした。
彼女はそこに、数人の従者と共に住みました。
家はドラセナの垣根(かきね)で、周囲を取り囲まれていました。
入口の門の両脇にはプロウロウ(カプの標識)が立てられ、敷地内への立入を禁止していました(N.1)。
プロウロウは短くて頑丈な棒で、先端には白いタパ布で覆ったボールが付いています。
そしてこの棒は、「敷地内に住んでいるのが、最高位の階級でかつ神聖な人である。」ことを示しています。
バラ色の光が家を覆う
カハラオプナは、幼い頃から大変な美人でした。
彼女の頬(ほお)はこのうえなく赤く、その顔は眩(まぶ)しいほどに輝いていました。
そこで彼女が家にいる時は、頬や顔から放たれる光が、
草ぶき屋根や壁の隙間から、家の外にまで差していました。
それは、あたかもバラ色の光が、彼女の家全体を覆っているようでした。
そして、四方八方に放たれる明るい光線は、家の上で絶えず踊っているように見えました。
今も彼女の魂が帰って来る
家の下の方に湧き出ている泉に、彼女が水浴に行く時は、
幾条もの光線が周囲に放たれ、彼女を取り囲むのでした。
それはちょうど神や聖人が発する光明を描いた、後光(ごこう)のようでした。
地元の人々は、「その輝く光は今でも、時としてカハイアマノで見ることが出来る。」 と主張します。
そしてその光こそが、「カハラオプナの魂が、彼女の古い家に戻っている証拠だ。」 と言います。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) プロウロウ(カプの標識)(puloulou (sign of kapu)):
プロウロウは立入禁止を示すカプの標識ですが、この標識には幾種類かあります。
そのなかで最もポピュラーなのは、ズバリ「KAPU」と書いた看板かも知れません。こちらはディズニーのアニメ「リロ・アンド・スティッチ(Lilo & Stitch)(2002年)」にも登場して話題になりました。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.