夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

----- 大 目 次 -----

ハワイの昔話の世界へ

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原典  Thos. G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.

 

 

264 カレレアルアカ:(39) 王位を継承する

(前回からの続き)

そこで、足の不自由な元帥は王の前に立つと、こう言いました(*1)。

「カラニ(王)よ! 貴方(あなた)の身は、安泰でございます。

 

あなたは直(す)ぐに使いを出して、義理の息子をここに呼び、私の前に立たせると良いでしょう。

なぜならば彼こそが、我々が探している男だからです。」

 

カクヒヘヴァは直ぐに立ち上がると、自ら義理の息子の家へ行き、娘たちにこう呼びかけました。

「お前たちの夫をマリウハアイノの所へ行かせ、彼の前に立たせるために来たのだ。」 

 

そこで、カレレアルアカは寝床のマットを持ち上げると、あのフェザー・クロークとヘルメットを取り出して、2人の妻たちとカルヘ、そして自分自身もそれを身にまとい盛装しました。

 

 

それから彼らを一列に並べ、先頭に年上の妻、次に若い妻、そして3番目にカルヘを配し、最後尾に彼自身が付くと、出発進行の号令を下しました。こんな風に彼らに随行されて、彼は王の命令に従うために、出発して行きました。

 

彼らが来るのを見た、足の不自由な元帥は、歓喜のあまり地面にひれ伏し、また、埃(ほこり)の中を転(ころ)げ回りました。

 

「貴方の長女が身にまとっているフェザー・クロークとヘルメットは、1回目の戦いでクアリイ軍の大将から奪い取った物、そして次女のそれは2回目の戦いの大将から奪った物、一方、カレレアルアカ自身のそれは、4回目の戦いで殺された大将から奪った物です。

 

貴方は生き続けられるでしょう。しかし、ことによると私は死ぬでしょう。何故なら彼はもう、私を運ぶのにうんざりしていますから。」

 

カレレアルアカが近づいて来る間、足の不自由な元帥はずーっと彼を称賛し続けていました。

 

それから、その英雄を前にしてこう話しかけました。

「私はあなたのことがわかります、以前、お会いしたことがありますから。

 

それでは、あなたが長槍で負った傷がわかるように、王とここに集まった全ての人々に、あなたの左腕を見せて下さい。」

 

そこで、カレレアルアカが左腕を露(あら)わにして傷を見せると、集まった大勢の人々はびっくり仰天しました。

 

これを見たカクヒヘヴァが、直ぐに言いました。

「カレレアルアカ、そして我が娘たちよ。あなた方がこの王国を治(おさ)めなさい。そして私は、あなた方の下(もと)で、一平民となろう。」

 

この後、新たに土地の割り付けが行われて、カクヒヘヴァが亡くなるまでこの国は平和でした。

そしてまたカレレアルアカも、亡くなるまでずーっと平和に暮らしました。

(終わり)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.

 

 

263 カレレアルアカ:(38) 傷跡の男を探す

(前回からの続き)

翌朝、日差しが強くなってから、足の不自由な男が、ひどく興奮した様子で王の家に着くと、早速(さっそく)、王から戦いの結果について聞かれました(*1)。

 

「戦いは、完全に成功でした。」 と元帥が言いました。

 

「しかし、ケイノホオマナワヌイが殺されました。

私が彼の首を持ち帰り、カラワオの山側にある祭壇上に奉納しました。

 

ところで、王におかれましては、すぐさま島のコナ(風下側)からコオラウ(風上側)に至る全土に、最速の使者を送り、全ての人々に一箇所に集まるよう命ずるのが宜しいかと思います。

 

そうすれば、私が入念に検分してあの男を見つけ出し、最も勇敢な男として大いに褒め称(たた)えましょう。

 

私はある目印から必ずあの男を見つけ出します。と言うのも、私はこれまで彼に注目して来たし、今、彼は左腕に傷を負っていますから。」

 

さて、カクヒヘヴァの2人の最速の使者(クキニ)は、ケアケアラニとクヘレモアナと言う名前でした。

彼らは大変俊足(しゅんそく)なので、オアフ島を午前中に6周、もしも丸一日ならば12周出来ました。

 

この2人が送られて、王の領土に住む全ての男たちが、呼び集められました。

 

ワイアナエの男たちはその同じ日にやって来て、プウロアの砂原で入念な調査を受けました。

しかし彼らの中には、あの傷跡を持つ男は1人もいませんでした。

 

次に、コナ、ワイアルア、そしてコオラウの男たちが来ましたが、その男は見つかりませんでした。

 

 

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.

 

 

262 カレレアルアカ:(37) クアリイが降伏する

(前回からの続き)

戦力の要(かなめ)だった総大将が殺されたと知ると、クアリイは撤退してヌウアヌ渓谷に逃れるも、カレレアルアカに追われて谷の一番奥で捕まってしまいました。

 

 

ここでクアリイは降伏し、こう言いました。

 

「命だけは助けてくれ。

そうすれば、土地は全てカクヒヘヴァに譲り、私は彼の忠臣としてそこに住み、一生、騒ぎは起こさない。」

 

これに英雄が答えました。

「よくぞ言った! その言葉を守るならば、お前の命は助けてやろう。

 

だが、もしもお前が、たとえ如何なる時であれ、謀反(むほん)を煽(あお)るようなことがあれば、お前の命は無いのもと思え!

 

それでは、さあ、故国に戻って静かに暮らしなさい。そしてコオラウでは、如何なる戦いであろうとも、扇動するんじゃあないぞ。」

 

こう警告されると、クアリイは 「深く青いコオラウの断崖」 に向けて戻り始めました。

 

一方、足の不自由な元帥が不潔野郎の首を抱(かか)えて、重い足取りで家に向けて歩いている間に、カレレアルアカは空を飛んで自宅に舞い降り、 いつものように戦利品を片付けると、すぐさま妻たちに、彼の家に再び集まるよう呼びかけました。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.

 

 

261 カレレアルアカ:(36) 不潔野郎を倒す

(前回からの続き)

数日後、また、こんな報告が届きました。

「クアリイが、ヌウアヌのカハパアカイという場所に、軍隊を配備している。」

 

マリウハアイノはすぐさま彼の部隊を結集し、その日の夕方には戦場に向けて出発しました。

 

翌朝早く、カレレアルアカは妻たちを呼び起こして、こう言いました。

 

「朝食にしよう。但し、君ら2人は君ら自身の家で静かに食べなさい。私は私の家で犬たちと一緒に食べるから。

そして私が呼ぶまでは、私の家に入ってはならぬ。」

 

彼女らはこれに従って女性2人で出て行き、彼女たちだけで朝食をとりました。

 

一方、カレレアルアカは自分の家で、カルヘに命じて犬たちを興奮させ、彼が戻るまで吠え続けさせました。

 

 

それから彼は素早く飛び跳ねてカパカコレアに降りると、あの足の不自由な男に追い付きいつもの挨拶を交わし、彼を持ち上げてワオラニと呼ばれる所に降ろしました。

 

この日、彼は最初に、家の入口で彼を罵(ののし)った奴らを叩(たた)き殺しました。

 

それが終わると、彼はクアリイの陣に深く切り込んで、数え切れない程の兵士を虐殺しました。

次に振り返ると、ケイノホオマナワヌイを捕(つかま)えて投げ飛ばし、何故(なぜ)片眼が見えなくなったのだ、と聞きました。

 

「失明したんだ。」 と不潔野郎が言いました。
「オロパナと戦って、長槍で突き刺されたのさ。」

 

「そうだ、確かに 。」  と カレレアルアカが言いました。

 

「ワイルクで一緒に住んでいた時、お前と私は流れを挟(はさ)んで両側にいたが、そこで、ククイの実が炎の中で弾(はぜ)たことがあった。

まさにそれこそが、 お前の目を潰(つぶ)した長槍だ。」

 

これを聞いた不潔野郎は、恥ずかしさの余り顔を伏せました。

 

そして、カレレアルアカが彼を掴(つか)んで殺そうとした時、不潔野郎の長槍がカレレアルアカの左腕を深く突き刺したので、長槍を引き抜いた後もその先端部が傷の中に残りました。

 

カレレアルアカは ケイノホオマナワヌイを殺して首を切り落とし、足の不自由な男の所へ走ると、彼の足元に証拠の品を置いて、こう言いました。

 

「マリウハアイノ元帥! ここにケイノホオマナワヌイの首を差し出します。」

 

これが済むと、彼は戦場に戻って再び大虐殺を繰り返し、遂にクアリイ軍の大将の所まで攻め込むと、彼を殺してフェザー・クロークとヘルメットを奪い取りました。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.

 

 

260 カレレアルアカ:(35) 第3の男も素晴らしい

(前回からの続き)

この戦いで彼はまず初めに、自分を嘲笑(あざわら)ったカクヒヘヴァ軍の兵士たちを討ち取りました。

 

次にクアリイの戦士たちに立ち向かい、稲妻の如く彼らを打ち倒して、驚異的なパワーを見せました。

 

クアリイ軍の大将の所まで攻め込むと、大将を殺してフェザー・クロークとヘルメットを奪い取り、さらに、手の小指と足の指を切り落としました。

 

それらを手に彼は足の不自由な男の元へ走り、男を抱き上げると大空を飛んでワイピオまで運び、ワイパフの水が噴き出る場所の直ぐ下に降ろしました。

 

 

家に着いたカレレアルアカは、戦利品を片付けると横になって寝ました。

 

それから数時間ほど眠ると、妻たちが酷(ひど)く不機嫌そうにやって来て、あなたのお肉が焼けました、と言いながら彼を起こしました。

 

しかし、カレレアルアカは唯(ただ)、あんまり遅いので食欲が無くなってしまった、と答えるだけで食べようとしませんでした。

 

これを見て妻たちが言いました。

「やれやれ。ところであなたは、私達が働くことに慣れている、と思うのですか?

 

私達は王の娘らしく働かずに生きて行くべきなので、召使いたちが食物を準備し終えた後で、食卓に着いてそれを口にすべきなのです。」

 

ご婦人方は依然として、ぶつぶつ不平不満を言い続けていましたが、その時、兵士たちがケイノホオマナワヌイのパワーを誇らしげに語りつつやって来て、カレレアルアカの家の前を通りながら、こう言いました。

 

「戦争だと言うのに家でのんびりしている、此奴(こやつ)の2人の妻たちが、もしもケイノホオマナワヌイのような、勇敢で高貴な戦士の元に嫁いでいたら、どんなに良かったことか。」

 

太陽が今まさに海の向こうに沈もうとしている時、足の不自由な男の足音が、王の家の前で聞こえました。男は中に入ると腰を下ろしました。

 

暫(しばら)くして、王が戦いについて尋ねました。

 

この第3の男の英雄的な勇敢さと戦闘能力は、前の男たちにも増して凄(すご)かったです。とは言え、3人は誰も皆お互いに似ているんです。

 

「しかしながら今日の彼は、最初に 自分を嘲笑(あざわら)った者たちを殺して、彼らに復讐しました。

 

それからクアリイ軍の大将を殺して、フェザー・クロークとヘルメットを奪い取りました。

 

私が帰る時には、はるばるワイパフまで私を運んでくれました。」

 

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.

 

 

259 カレレアルアカ:(34) 戦いは明日だ

(前回からの続き)

ある日、再びこんな報告が届きました(*1)。

「クアリイがクラオカフアに攻めて来た、明日は戦いになる。」

 

足の不自由な男は、いつものように前日の夕方に出発しました。

 

そしてその日の朝、カレレアルアカは妻たちを呼んで、こう言いました。

 

「お前たち、何処(どこ)にいるのだ?

目を覚ましなさい。鶏(にわとり)を焼いて欲しいんだ。

 

こんな風にするんだ、引っ張り出すんだ。

切り開くのではなく、尻の穴から内蔵を抜き取るんだ。

 

次にその同じ穴から、タロイモの若葉を詰め込んで焼くんだ。

絶対に切り開くな! でないと、味が台無しになってしまう。」

 

 

彼女らが家を出てしまうや否や彼はカフクへ飛んで、首にはパンダナスの果実のレイをかけ、また頭部はサトウキビの花で飾り立てて姿形(すがたかたち)を一変させ、灰色の髪の老人に見えるようにしました。

 

そして前の時と同じように、足の不自由な男の後ろで一息つくと、挨拶代わりにポンと背中を叩(たた)きました。

 

それから男を優しく持ち上げると、プオワイナに降ろしました。

 

足の不自由な男は、親切に運んでくれたお礼として、彼にコオラウ・モクを与えました。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.

 

 

258 カレレアルアカ:(33) 戦場に英雄が現われた

(前回からの続き)

 

2人の若い女性、カレレアルアカの妻たち、は言われた通りにヒョウタン容器の注ぎ口を下に向けると、水が昇って容器を満たすようにとはかない望みを抱きながら、真昼の太陽が頭上からまともに光線を浴びせ始めるまで、ずーっと水中に押し込み続けました。
しかしほんの少しの水さえも、彼女らの容器には入りませんでした。

 

そこで妹が姉にこう提案しました。

「いつもの方法でヒョウタン容器を満たしましょう。どうせカレレアルアカには、その違いなど分かりませんよ。」

 

こうして容器を満たすと、彼女らは家に戻りました。

 

だがカレレアルアカはその水を少しも飲もうとせず、こう言い放ちました。

「これは、すくい上げた水だ!」

 

これを聞いて、若い方の妻はこっそりと笑いました。

 

一方、年上の妻は怒りを抑え切れずに、こう言いました。

「あなたが言った水汲み方法が、遅すぎるからいけないんです。

 

私達は、退屈な水汲み仕事に慣れていません。

 

父は私達を大切にしてくれており、水は召使いが汲(く)んで来ましたが、いつも注ぎ口を上に向けて、ヒョウタン容器に水を入れていました。

ところが厄介(やっかい)なことに、あなたは注ぎ口を下に向けるよう命じました。

 

あなたの要求はいつも厳しくて、情け容赦もありません。」

 

このように、女性達が不平不満を言い続けていると、やがて戦場から戻って来る兵士たちの、重い足音が聞こえて来ました。彼らはケイノホオマナワヌイの偉大な戦功の数々を、誇らしげに語り合っていました。

 

しかし王はこう言いました。

 

「私はお前らの言葉など一言も信じない。

我が足の不自由な男が戻って来れば、彼が本当のことを話してくれるだろう。

 

ケイノホオマナワヌイは運動能力が卓越している、などと言う言葉を私は信じない。

これこそが、彼について纏(まと)め上げた、私の考えだ。

 

しかし、パワー溢(あふ)れる男が1人いる、カレレアルアカだ、 ---

もしも彼が戦闘に加わるようなことがあれば、必ずや彼は数々の奇跡を引き起こすであろう。

 

これこそが、彼について慎重に検討した上で纏め上げた、私の考えだ。」 

 

そこで王は、足の不自由な男が戻るのを夜まで、いや夜明け近くまで一晩中、待ち続けました。

 

そして遂に足の不自由な元帥が到着した時、王は思慮深く、彼が暫(しばら)く休んで一息つくまで、あれこれ尋(たず)ねるのを控えました。

 

その後、王がワイアルアから来た新しい英雄について洗いざらい聞くと、元帥は英雄の名前は知りませんでしたが、彼は王の義理の息子カレレアルアカに似ている、とはっきりと言いました。

(次回に続く)

 

(注記

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.