(前回からの続き)
王の許しで 2人でブランコに乗る
ヒクとカウェルはお互いに、相手が愛する人であると気付きました(*1)。
そこでミル王のお許しを得ると、彼女は矢の如く彼の元へ飛んで行きました。
そしてコワリ(ブランコ)に乗ると、彼と一緒に揺らせたのでした。
しかしその彼女さえも、死体のような彼の悪臭には、顔をそむけざるを得ませんでした。
ブランコを引き上げる
2人は一緒に、この大好きなハワイの娯楽、レレ・コワリを楽しんでいました。
この時、海面上のカヌーにいた仲間たちは、予(あらかじ)め決めてあった合図で、
彼の作戦が成功したことを知りました。
そして仲間たちはその時、2人を素早く引き上げていました。
蝶(ちょう)のように飛ぶカウェルを捕える
彼女は最初、引き上げられていることに、気付きませんでした。
この遊びに夢中になり過ぎたのです。
しかし、はるか下に見える死者の世界から、遠く離れてしまったことを知ると、
彼女はようやく目覚めて気を引き締め、自己を制したのでした。
そして彼女は蝶のように飛び回り始め、行方を眩(くら)まそうとしました。
しかし抜け目の無いヒクは、ずーっと彼女を監視し続けていました。
そして、半割れにしたココナツ・シェルをパチンと叩(たた)き合わせて、その中に彼女を閉じ込めてしまいました。
それから彼は、すぐ上に浮ぶカヌーに、素早く引き上げられたのでした。
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅴ. Hiku and Kawelu, J.S. Emerson, p.43-48.