夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

055 ヒクとカウェル:(10) カウェルの霊を連れ戻す


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(前回からの続き)

王の許しで 2人でブランコに乗る

ヒクとカウェルはお互いに、相手が愛する人であると気付きました(*1)。

 

そこでミル王のお許しを得ると、彼女は矢の如く彼の元へ飛んで行きました。

そしてコワリ(ブランコ)に乗ると、彼と一緒に揺らせたのでした。

 

しかしその彼女さえも、死体のような彼の悪臭には、顔をそむけざるを得ませんでした。

 

ブランコを引き上げる

2人は一緒に、この大好きなハワイの娯楽、レレ・コワリを楽しんでいました。

 

この時、海面上のカヌーにいた仲間たちは、予(あらかじ)め決めてあった合図で、

彼の作戦が成功したことを知りました。

 

そして仲間たちはその時、2人を素早く引き上げていました。

 

蝶(ちょう)のように飛ぶカウェルを捕える

彼女は最初、引き上げられていることに、気付きませんでした。

この遊びに夢中になり過ぎたのです。

 

しかし、はるか下に見える死者の世界から、遠く離れてしまったことを知ると、

彼女はようやく目覚めて気を引き締め、自己を制したのでした。

 

そして彼女は蝶のように飛び回り始め、行方を眩(くら)まそうとしました。

 

しかし抜け目の無いヒクは、ずーっと彼女を監視し続けていました。

そして、半割れにしたココナツ・シェルをパチンと叩(たた)き合わせて、その中に彼女を閉じ込めてしまいました。

 

それから彼は、すぐ上に浮ぶカヌーに、素早く引き上げられたのでした。

(次回に続く)

 

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(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅴ. Hiku and Kawelu,  J.S. Emerson, p.43-48.