(前回からの続き)
カウェルの目覚め
カウェルは遂(つい)に意識を取り戻しました(*1)。
そして愛するヒクが彼女の方に、優しく身をかがめているのを見て
唇を開いてこう言いました。
「私を置き去りにするなんて、どうしてそんなに冷たくなれるの?」
「死者の世界」の記憶が消えた
ルア・オ・ミル(死者の世界)と、そこでの彼(ヒク)との出会い、それら全ての記憶が、彼女の頭の中から消え失せてしまったのです。
そして、死の数日前に意識を失ったが、その直後に再び意識を取り戻した、とみなされたのでした。
ホルアロアの人々は大喜び
ホルアロアの人々の心は、大変な喜びに満ち溢(あふ)れていました。
美しいカウェルと英雄ヒクを囲んで、2人の帰還を歓迎することが出来たからです。
そして彼女は、二度と彼から離れることは、ありませんでした(N.1)。
(終わり)
(ノート)
(N.1) ルア・オ・ミルの場所( Location of the Lua o Milu):
原文では、お話しの本文(上記)の後に、「ルア・オ・ミルの場所」 という解説文が付記さていますが、ここでは省略します。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅴ. Hiku and Kawelu, J.S. Emerson, p.43-48.