夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

057 ヒクとカウェル:(12) カウェルの目覚め


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(前回からの続き)

カウェルの目覚め

カウェルは遂(つい)に意識を取り戻しました(*1)。

そして愛するヒクが彼女の方に、優しく身をかがめているのを見て

唇を開いてこう言いました。

「私を置き去りにするなんて、どうしてそんなに冷たくなれるの?」

 

「死者の世界」の記憶が消えた

ルア・オ・ミル(死者の世界)と、そこでの彼(ヒク)との出会い、それら全ての記憶が、彼女の頭の中から消え失せてしまったのです。

そして、死の数日前に意識を失ったが、その直後に再び意識を取り戻した、とみなされたのでした。

 

ホルアロアの人々は大喜び

ホルアロアの人々の心は、大変な喜びに満ち溢(あふ)れていました。

美しいカウェルと英雄ヒクを囲んで、2人の帰還を歓迎することが出来たからです。

 

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そして彼女は、二度と彼から離れることは、ありませんでした(N.1)。

(終わり)

 

(ノート)

(N.1) ルア・オ・ミルの場所( Location of the Lua o Milu):

原文では、お話しの本文(上記)の後に、「ルア・オ・ミルの場所」 という解説文が付記さていますが、ここでは省略します。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅴ. Hiku and Kawelu, J.S. Emerson, p.43-48.