夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

060 カペエペエカウイラ (カナの岩):(3) 嘆き悲しむヒナの夫


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(前回からの続き)

島の反対側に住む人々を集める

この知らせがカペエペエカウイラに届けられると、彼はすぐさま島の反対側に使者を送りました(*1)。

ケオネクイナからカラマウラまでの地域の、全ての人々を招集するためです(N.1)。

 

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というのは、もう私たちは知っているように、彼は毛深い男でしたから、

その体中をおおう醜い毛を、取り除かないといけなかったのです。

 

2人はハウプの頂上に住み始める

ということで、人々がすべて到着すると、カペエペエカウイラは横になりました。

そこで人々は仕事に取りかかり、毛という毛が全て抜き取られるまで続けたのでした。

 

こうして、彼はヒナを妻に娶(めと)りました

そして彼ら2人は、ハウプの頂上に一緒に住んだのでした。

 

嘆き悲しむヒナの夫

かわいそうにもヒナの夫、ハカラニレオは伴侶を失って嘆き悲しみました。

 --- 冬の長い夜も、そして夏のスコールが襲う夜も、いつも一緒だったのですから。

 

かと言って彼には、彼女を取り戻すことも出来ませんでした。

なぜならハウプの尾根は、天空まで伸びていたのですから。

 

彼は彼女を失った不幸を嘆き悲しみながら、

激しい苦悩に襲われ、ホコリにまみれて転がりました。

そして、背中の後ろで両手を組んだのでした。

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) ケオネクイナ(Keonekuina)、カラマウラ(Kalamaula):

ケオネクイナとカラマウラは、共にアフプアア(かつての土地区分)の名称で、モロカイ島の南岸に位置していました。

前者は島の東寄りですが後者は島の中央付近にあり、両者は20kmほど離れています。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.