夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

104 カハラオプナ:(29) 両親らが自然に還る

(前回からの続き) 両親はマノアの風と雨になる カハラオプナの最期を耳にすると、彼女の両親はマノアの渓谷に隠遁(いんとん)しました(*1)。 彼らは人間として生きることを、諦(あきら)めたのです。 そして、人間から超自然的存在へと、彼ら自身の姿を変えた…

103 カハラオプナ:(28) 人喰いザメを追え

(前回からの続き) カハラオプナの悲報が届く カハラオプナが死ぬと、その若い女性の霊は、すぐさま家に戻りました(*1)。 そして眠っていた母に、彼女に降りかかった痛ましい出来事を伝えました。 母は目を覚ますと、娘を惜しんで嘆き悲しみました。 そして 「…

102 カハラオプナ:(27) 幸せな2年の果てに

(前回からの続き) 幸せなカハラオプナ 約2年の間、カハラオプナは夫と一緒に幸せに暮らしました(*1)。 そのなかで彼女の叔父は、カウヒがサメに姿を変えたことを知りました。 また、カウヒが執念深い性格であることに気付いていました。 そこで叔父は、彼女…

101 カハラオプナ:(26) サメの長老が連れ去る

(前回からの続き) 長老ザメがカウヒらを連れ去る カウヒと殉死者たちが焼かれたイム(地下式オーブン)は、アプアケハウ川の岸辺にありました(*1)(N.1)。 そこは有名なウルコウ果樹園の中で、海のすぐ近くでした(N.2)。 次の夜、とてつもなく大きな波が、その…

----- 大 目 次 -----

ハワイの昔話の世界へ ようこそ ! --- 作業中です --- 1. 神 話 (1) マウイの偉業 1) 太陽を捕まえる (4) 2) 火の起源 (5) (2) 女神ペレ 1) ペレと大洪水 (4) 2) ペレとカハワリ (7) 2. 民 話 (1) メネフネ短編集 (2) ヒクとカウェル (12) (3) カペエペ…

100 カハラオプナ:(25) カウヒらはイムで焼かれる

(前回からの続き) カウヒらがイムで焼かれる 2つの大きなイム(地下オーブン)が、若者の従者たちの手で、加熱され続けていました(*1)(N.1)。 というのは、カウヒと若者のいずれか一方が死刑になる、と予想されたからです。 そして実際に、カウヒと2人のトラ…

099 カハラオプナ:(24) 王の裁き

(前回からの続き) 王の裁(さば)きが始まる いよいよ王は、その女性(カハラオプナ)とカウヒに、次の事につき説明するよう命じました(*1)。 ・2人の間に起きた全ての出来事。 ・乙女(カハラオプナ)が死んだと言う噂。 そこで2人は、各々自分の言い分を語りま…

098 カハラオプナ:(23) 彼女はアカアカの孫娘

(前回からの続き) アカアカが予言者を誘う するとアカアカは予言者カエアに、こう言いました(*1)。 「水瓶(みずがめ)の中を覗(のぞ)いてご覧なさい。 きっとその霊たちがいますよ(N.1)。」 予言者の霊を捕える 予言者はその謎解(なぞと)きにすっかりとり憑(つ)…

097 カハラオプナ:(22) カハラオプナは霊ではない

(前回からの続き) 予言者のテストを王が許可する 王のお許しが出て、このテストが行われました。 王は最高位の首長たちを周囲に控えさせて、これに立ち会いました。 また、このテストを一目見ようと、数え切れない程の人々が、島の隅々から集まりました。 カ…

096 カハラオプナ:(21) 裁判に向けて

(前回からの続き) カハラオプナの一行がワイキキに向かう 約束の日、カハラオプナはワイキキに向かいました(*1)。 彼女に付き添ったのは、両親、親族、召使い、そして守護神2人でした。 守護神たちは、その日は人間の姿をしていました。 カハラオプナに同行…

095 カハラオプナ:(20) カウヒの挑戦

(前回からの続き) 命を賭けたカウヒの挑戦 3日目の夜、第3番目の歌が歌われました(*1)。 そして若い男2人の口論がひどく過激になる中で、カウヒは若者にこう言い放ちました。 「お前が知っているカハラオプナは、偽者(にせもの)に決まってる! 本物は、俺…

094 カハラオプナ:(19) キル・ハウスに乗り込む

(前回からの続き) カハラオプナの歌にカウヒが仰天 ある日、カウヒがゲームをしていると、彼の向かいにあの若者が座りました(*1)。 そしてカウヒがプレーを終えると、若者はキルを手に取って歌い始めました。 --そうです、カハラオプナが歌った1番目のメレ…

093 カハラオプナ:(18) 策略を練る

(前回からの続き) カハラオプナの心は変わらない 若者は埋められていた彼女(カハラオプナ)を救い出し、復活させたのです(*1)。 ですから、彼女を花嫁にしたいと思ったのも、当然のことでした。 ところが、その女性はこう言って、彼のプロポーズを断ったので…

092 カハラオプナ:(17) 若者に救われる

(前回からの続き) 若者がカハラオプナを掘り起こす さて話は変わりますが、殺された女性(カハラオプナ)の霊は、いつの間にか、通りすがりのある一行に紛れ込んでいました(*1)。 その中の一人の若者が、彼女を思う深い同情心に駆られて、霊に教えられた木の所…

091 カハラオプナ:(16) 人々が一部始終を知る

(前回からの続き) 守護神フクロウの悪戦苦闘 忠実なフクロウはその女性の遺体をめざして、足で土を引っ掻(か)いて、排除しようとしました(*1)。 ところが彼の爪に、無数に伸びる大小の木の根が、絡(から)み付いて来ました。 それはカウヒが穴を掘った時に、…

090 カハラオプナ:(15) 4,5度目の死

(前回からの続き) 彼女の歌にカウヒが激怒する 彼が帰り道を歩いていた時、彼女は前と同じように歌を歌いました(*1)。 それは彼ら2人が越えて来た山道が、危険で困難だった様子を詳しく語っていました。 そして最後には、未だ真相が解らぬ過(あやま)ちに対…

089 カハラオプナ:(14) 2,3度目の死

(前回からの続き) カウヒの一撃が再び彼女を襲う このカハラオプナの問に、カウヒは一言も答えませんでした(*1)。 それどころか、ハラの木の枝で再び彼女を殴ったのでした。 そして前の時と同じように、彼女はすぐに死んでしまいました。 彼は彼女が倒れた場…

088 カハラオプナ:(13) 尾根の斜面を登る

(前回からの続き) 険しい山の斜面を登る カウヒはその女性の近くまで上って来ると、自分の後についてくるように命じました(*1)。 2人は、マノア渓谷とヌウアヌ渓谷を分かつ尾根の、斜面を登って行きました。 この急な山の尾根を登ることは、優しく愛情深く…

087 カハラオプナ:(12) カハラオプナの再生

(前回からの続き) 守護神がカハラオプナを救い出す カウヒが行ってしまうとすぐに、大きなフクロウが現われました(*1)(N.1)。 このフクロウは神であり、またカハラオプナの親族でもありました(N.2)。 そして家からずーっと、彼女の後について来たのでした。 …

086 カハラオプナ:(11) カハラオプナの死

(前回からの続き) カハラオプナの懇願 この思いもよらぬ言葉に、若い女性は驚いて、彼の顔を見上げました(*1)。 しかし、カウヒの目の中にあるのは、憎悪と殺意だけでした。 そこで彼女は言いました。 「もし私が死なねばならぬなら、なぜ私を自分の家で殺さ…

085 カハラオプナ:(10) 君は死なねばならぬ

(前回からの続き) 不機嫌そうなカウヒ 彼女の出かける準備が済むと、彼はついて来るよう合図しました(*1)。 そして一言も無く、背を向けて歩き出しました。 彼らはクマカハを通リ過ぎてフアレアに行きました。 その時、女性が言いました。 「一休みして、何か…

084 カハラオプナ:(9) 嫉妬で怒り狂うカウヒ

(前回からの続き) 愛らし過ぎたカハラオプナ 彼は恐らく、カハラオプナが家から出て来たその時に、彼女を殺そうと考えていたのでしょう(*1)。 ところがその女性は、何のためらいもなく彼に言われるがままで、しかもその姿は余りにも愛らし過ぎました。 その…

083 カハラオプナ:(8) 義理堅いカハラオプナ

(前回からの続き) カウヒがカハイアマノに着いたのは、ちょうどお昼頃でした(*1)。 それから彼はすぐに、カハラオプナの家の前に姿を現しました。 カハラオプナの目覚め その時、彼女はちょうど目を覚ましたところでした。 そして、重ね合わせたマットの上に…

082 カハラオプナ:(7) カウヒの怒りと決意

(前回からの続き) カウヒの決意 このような悪い噂は、かなり頻繁(ひんぱん)に聞こえて来ました(*1)。 そのためカウヒはやがて、この噂を信じるようになったのでした。 彼の心の中は、婚約者への嫉妬と激しい怒りで溢(あふれ)れ返りました。 そして遂に、彼は…

081 カハラオプナ:(6) 悪い噂が広まる

(前回からの続き) ワイキキで大暴れ ワイキキにいる間、「あかんべーの男たち」 は勝手気ままに振る舞い、 「あの有名な美女を口説き落とした。」 と豪語して回ったものでした(*1)。 そして、着飾っていた彼らのレイを見せつけては、 「カハラオプナからの愛の贈…

(4) カハラオプナ

目 次 --- 作業中です --- (1) マノア渓谷 (2) マノアの風と雨 (3) カハラオプナの光明 (4) マノアのプリンセス (5) あかんべーの男たち (6) 悪い噂が広まる (7) カウヒの怒りと決意 (8) 義理堅いカハラオプナ (9) 嫉妬で怒り狂うカウヒ (10) 君は死なねば…

(3) カペエペエカウイラ (カナの岩)

目 次 (1) モロカイ島北岸のハウプ (2) あなたの妻になりましょう (3) 嘆き悲しむヒナの夫 (4) カマララワルと石 (5) 英雄にも頼れない (6) ニヘウが父を連れ戻す (7) カナを訪ねる (8) カナを味方につける (9) カヌーが出来た (10) 暗礁そして水の壁 (11) …

(2) ヒクとカウェル

目 次 (1) フアラライの山頂に住む (2) 山頂から平原をめざす (3) 不思議な矢プア・ネが飛ぶ (4) 矢はカウェルの足元へ (5) カウェルの深い愛 (6) 真の愛がヒクを動かす (7) コワリのつると死臭のオイル (8) 地の底に向けて出発! (9) 死者の世界 (10) カウェ…

080 カハラオプナ:(5) あかんべーの男たち

(前回からの続き) あかんべーの男たち こうして、彼女のこの上ない愛らしさが大変な評判になり、この谷の隅々にまで広まったのでした(*1)。 そしてこの噂は2人の男、クマウナとケアワア、の耳にも入りました。 2人はともに下瞼(したまぶた)が萎縮して、醜(…

079 カハラオプナ:(4) マノアのプリンセス

(前回からの続き) 半ば神のような人 カハラオプナは幼い頃からカウヒの許嫁(いいなずけ)で、そのカウヒはコオラウ(モク)・カイルアの若い首長でした(*1)(N.1)。 彼の両親は、息子が将来「マノアのプリンセス」と結婚すると言う栄誉に、大変な気遣(きづか)いをし…