(前回からの続き)
体を温めてから話して下さい
それから、カナはこの老人(ハカラニレオ)に言いました(*1)。
「さあ、まずはこの火で、あなたの体を乾かしなさい。
そして暖まったら、あなたの身に何が起きたのか話して下さい。」
老人は言われた通りにしました。
十分に暖まると、彼を襲った悲痛な出来事について、カナに語りました。
カナが奮(ふる)い立つ
それを聞いてカナが言いました。
「ワシの人生のほとんどは、もう終わってしまった。
今はもう、ただ死を待っているだけだ。
ところが、そのワシがだ、ほら見てくれ!
遂に、天下無双のワシに相応(ふさわ)しい、強敵を見つけたぞ。」
カナは即座にハカラニレオの言い分を認め、彼に加勢することにしました。
ニヘウのカヌー造り
そこで長い舟旅に備えてカヌーを造るよう、弟のニヘウに命じました。
ニヘウは辛い作業に懸命に取り組みましたが、可愛そうなことに、上手く行きませんでした。
やけになった彼は、カナを怒鳴りつけ激しく非難しました。
「あんたがワシに命じた作業は、「仕事」なんて呼べる代物(しろもの)じゃあねえ。
そいつはもう、奴隷をこき使うような、過酷な苦役だ!
あんたはそこの隠居所で、のんびり暮らしてるが、
ワシが汗水流して造ったカヌーを、その足で壊してるんだぞ。」
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.