夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

066 カペエペエカウイラ (カナの岩):(9) カヌーが出来た


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(前回からの続き)

あの灌木を引き抜けるか?

これを聞いカナは、小さな一本の木を指差して、ニヘウにこう言いました。

「お前、あの木を引き抜けるか?」

 

「出来るさ、」 とニヘウは答えました。

 

何故(なぜ)ってそれは、ただの1本の小さな木、だったのですから。

自分なら根こそぎ引き抜ぬける、と彼は信じて疑いませんでした。

 

そんなんじゃあ敵を倒せぬ

ニヘウはその木を引っ張り、次に、勢いをつけて力を込め、一気にぐいっと引き抜こうとしました。

しかし、その木はびくともしませんでした。

 

それを見ていたカナは、からかうように言いました。

「そんなんじゃあ、敵をやっつける事なんか出来んぞ。」

 

カナがカヌーを造る

カナは次に両手を前に伸ばすと、何やら森の中を引っ掻(か)き回していました。

 

そして暫(しばら)くすると、彼は片方の手に、一艘(そう)のカヌーを持っていました。

さらに少し後には、彼の反対側の手から、もう一艘のカヌーが現われました。

 

この良く似た一対のカヌーは、「カウムエリ」と名付けられました。

 

彼はそれらのカヌーを岸辺に降ろして、パドルを取り付けました。

そして14人の漕手(こぎて)を雇い入れました。

 

こうして彼らは、カペエペエカウイラと戦うための、旅に出たのでした。

 

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(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.