(前回からの続き)
巨大な怪物がやって来る
しばらくすると、ニヘウが再び大声で呼びました(*1)。
「なんてこった、まただ、ワシら死んじまうぞ。
ほらこっちに、バカでかい怪物がやって来るぞ。
もし奴が襲って来たら、ワシらみんなお陀仏だぜ。」
怪物魚の鼻を殴れ
そしてカナが言いました。
「さあ、しっかり見るんだぞ。
そしてあの尖(とが)った鼻が、カヌーの船首を横切る瞬間に、お前の杖で殴りかかるんだ。」
ニヘウは言われた通りにしました。
すると見て下さい! このバカでかいものは、何と怪物魚だったのです。
この怪物魚はカヌーに引き上げられ、彼らみんなの食料になりました。
それはあまりにも大きく重かったので、カヌーの縁は海水面すれすれまで下がりました。
大きく口を開いたサメ
彼らは、先へ先へと進み続けました。
そして、次に彼らの目に飛び込んで来たのは、大きく開いたサメの口、
その中には鋭い歯が並んでいました。
さて、このハウプには外郭衛兵たちが数多くいました。
上の怪物魚も外郭衛兵でしたが、このサメもまたハウプを守る外郭衛兵でした。
彼は、カナやニヘウたちを待ち受けていたのです。
「お前の杖で殴り飛ばせ、」 とカナが命令しました。
ニヘウが殴ると、その鮫は死んでしまいました。
巨大な亀
次に彼らが出会ったのは、巨大な亀、これもまたハウプの衛兵でした。
眠そうにしていたカナは、また起こされてしまいました。
用心深く見張っていたニヘウが、叫び声を上げたからです。
そしてこの亀もまた、魔法の杖の一撃で殺されてしまいました。
これらはどれも皆、夜の間の出来事でした。
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.