(前回からの続き)
ニウロイヒキに会う
こみ上げる悲しみを露(あら)わに、ハカラニレオはさらに進みました(*1)。
そしてやって来たのは、あの有名なニウロイヒキの所でした。
彼は前の時と同じように、ニウロイヒキの問いに答えながら、
これまでの経緯(いきさつ)を説明しました。
しかしニウロイヒキの答えは、こうでした。
「そりゃー、まさに絶望的だぜ。
よく見るんだ! あのハウプはめっちゃ高いんだぞ。」
カウルと会う
そこでハカラニレオは再び、もっとパワフルな男を見つけようと、あちこち探し回りました。
そして3番目に会った有名な男、それがカウルでした。
ハカラニレオは前の時のように、尋ねられては答えて事の次第を話しました。
するとカウルは自分のパワーを見せつけようとして、一つの川をひっ掴(つか)むと、
その流れを捕らえ堰(せ)き止めてしまいました。
しかし、ハカラニレオは悲しげな声で言いました。
「まだまだパワーが足りない。」
ロノカエホと会う
目に涙を溢(あふ)れさせながら、ひたすら勇者を探し続けたハカラニレオは、やがて4番目の英雄の所にやって来ました。
その英雄の名はロノカエホです(N.1)。
しかし、やはりここでも、これまでと同じことでした。
このロノカエホもまた、ハカラニレオを満足させるには、ほど遠い男だったのです。
もうお終(しま)いだ
彼が知る「最高の勇者たち」は、この4人で全てでした。
それなのに4人が4人共、揃(そろ)って彼の期待を裏切ったのでした。
もうこれでお終いでした。
彼は悲しそうに、山の森の方角に向きを変えて、家に戻ろうとしました。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) 英雄(hero):
ハカラニレオは次々と英雄たちを訪(たず)ね、これまでに全部で4人、すなわちカマララワル、 ニウロイヒキ、カウル、そしてロノカエホと会っています。
彼らはいずれも、クプア(Kupua) もしくは 半神(demi-god) とも呼ばれる、超自然的な存在(supernatural entities)です(*2)。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.
(*2) Martha Beckwith(1970): Hawaiian mythology, Mok.33 The Kana Legend, (c) Forbes version, p.466.