(前回からの続き)
カナがハウプの頂上を奇襲
「そうだ。」 と言って、カナは立ち上がりました(*1)。
戦いを前に、彼の一方の脚はケアウエア、そして他の足はカイパネアと命名されました。
そしてカヌー上で仁王立ちになると、カナは自分の体を上へ上へと伸ばし始めました。
それに気付いたハウプの頂上に住む人々は、恐ろしさの余り叫び声を上げました。
「わしら皆、死んじまうぞ!
ほら見ろ。バカでかい大男が、わしらの上にそそり立っているぞ。」
カペエペエカウイラの反撃
これを見たカペエペエカウイラは、急いでカマニの木の枝を切り落としました(N.1)。
ハウプの断崖絶壁を軽くすれば、断崖が隆起して高くなると考えたのです。
こうして断崖絶壁は高くなり、またカナも体を伸ばしました。
カナの力が尽きる
カペエペエカウイラたちは死物狂いで枝を落とし続け、断崖絶壁はさらに高くなりました。
一方、カナもさらに体を伸ばして、背を高くしていきました。
しかし、カナの体は次第にやせ細り、バナナの葉の根元のようになりました。
それでもまだ、彼は少しずつ体を伸ばし続けました。
そしてとうとう、蜘蛛(くも)の糸のように、細くなってしまいました。
最後にはカナが屈して、カペエペエカウイラに勝利を譲(ゆず)ったのでした。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) カマニ(kamani ) :
カマニはハワイ語名で、その和名はテリハボク、学名は "Calophyllum inophyllum"です。
常緑の高木で高さ8〜20mですが、30mを超す巨木になることもあるそうです。
ハワイでは神聖な木とされ、かつてはヘイアウ(神社)の周囲にも植えられました。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.