夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

069 カペエペエカウイラ (カナの岩):(12) カヌーが浅瀬に着く

(前回からの続き)

マストが枝にからまる

そしてついに、深い夜の闇の中から、夜明けの兆(きざ)しが見え始めました(*1)。

ちょうどその時、カヌーの帆柱(マスト)が木々の枝に、引っかかり出しました。

 

ニヘウがその枝をめがけて、勢い良く石を投げると見事に命中し、

何本もの枝がガタガタ音を立てて落ちて、マストは自由になりました。

 

そこで彼らはさらに進み続け、やがてカヌーはゆっくりと止まりました。

 

カヌーが浅瀬に着く

するとすぐに、ニヘウが叫びました。

 

「さあ着いたぞ。また眠ってる、おー、カナ。

カヌーを浅瀬に泊めたぞ!」

 

カナは目を覚ますと、まず足もとの感触を確かめました。

するとそこは地面ではなく、まだカヌーの中でした。

 

次に頭上の様子を探ると、マストに雑草が絡(から)まっていました。

そこをグイッと引っ張ると、雑草と土が一緒に落ちて来ました。

 

あのバカでかいカヌーは何だ!

引きちぎれたばかりの雑草から、新鮮な香りが立ち昇り、

カペエペエカウイラが住む家、ハレフキにまで漂って行きました。

 

ハウプの頂上にいた彼の手下たちは、足下の浅瀬に浮かぶカヌーに注目しました。

「あのカヌー、バカでかいぞ!」  と彼らは叫びました。

 

「あー! ありゃオピヒ(貝)をどっさり積んでるぞ。ヒナのためにハワイ島から運んで来たんだ(N.1)。」

と言うのは、オピヒは彼女の大好物だったからです。

 

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(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) オピヒ(Opihi):

オピヒはハワイのアワビとも言われる一枚貝で、波の荒い岩場に生息しています。

昔からハワイの人々の大好物ですが、オピヒ狩りは今でも毎年水死者を出す、危険な作業でもあります。

 

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(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.