(前回からの続き)
半ば神のような人
カハラオプナは幼い頃からカウヒの許嫁(いいなずけ)で、そのカウヒはコオラウ(モク)・カイルアの若い首長でした(*1)(N.1)。
彼の両親は、息子が将来「マノアのプリンセス」と結婚すると言う栄誉に、大変な気遣(きづか)いをしていました。
と言うのも彼女は半ば神のような血筋の人、とみなされていたからです。
そこで彼らはいつもその女性の食卓に、カイルアのポイと、カワイヌイの魚を送り届けていました(N.2)。
このように彼女は言わば、将来の夫から贈られた食物だけで育って来たのでした。
お目当ては 「マノアのプリンセス」
カハラオプナがうら若い女性に成長した時、その美しさは例えようもない程(ほど)でした。
そこでこの渓谷に住む人々は、ルアアレアの聖なる境内を訪ねたものでした。
そこはプロウロウ(立入禁止区域)の外側で、カハイアマノ(彼女の家)の隣にありました。
人々のお目当ては、家と泉の間を行き来する彼女でした。
その美しい姿を一目見ようと、集まった誰もが目を凝らしたのでした。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) コオラウ, カイルア(Koolau, Kailua):
コオラウとは、オアフ島の最も東側にあり、コオラウ山脈と海に挟まれたモク(区域)の名称です。
カイルアとは、コオラウ・モクを構成する1つのアフプアアの名称で、マノア渓谷に最も近い位置にあります。
(N.2) カワイヌイ(Kawainui):
カワイヌイとは、かつてカイルアにあったフィッシュ・ポンド(養魚池)の名称で、ハワイ最大の淡水養魚池でした。
現在は湿地になっており、2005年にはハワイ州最大の湿地(Kawainui Marsh)として、ラムサール条約に登録されています。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.