(前回からの続き)
ニヘウが噂を聞きつける
そうこうするうちに この噂が、『ならず者』の異名を持つ、ニヘウの耳に入りました(*1)。
「一人のオヤジが、この道を通って行ったぜ。
そいつは誰か出来る奴、そいつの妻を取り返せる勇者、を探していたよ。」
ニヘウは尋ねました。
「そのオヤジ、ワシのオヤジはどこにいるんだ?」
しかし、その返事 はこうでした。
「島の奥の方に行っちまったよ。」
年老いた父を連れ戻す
「よーし、オヤジに追いついてやる。逃がすものか!」 とニヘウが言いました。
そして行く手を塞(ふさ)ぐ木々を踏み倒しながら、彼はその老人の後を追いました 。
一方、老人はひたすら進み続けるも、遂に疲れ果てて、気を失いそうになりました。
ニヘウが老人に追いついたのは、ちょうどその時でした。
こうして彼は、老人を彼の家へ連れ戻したのでした。
なぜひたすら進んだのですか?
ニヘウは彼に尋ねました。
「一体全体、何だって先へ先へと進んだのですか?
--- ニヘウの家にも来ないで。」
「何だって、だと? 全く!」 と老人が応じました。
「決まってだろ! いなくなった、お前の母さんを取り返そうとしてるんだ。」
ウリが育てた男を訪ねましょう
それから老人は、英雄たちに話した時のように、一つずつ説明していきました。
そして話を聞き終えたニヘウは、こう言いました。
「あー、お父さん。お父さんの妻を取り返すのは難しそうだ、と心配です。
とは言え、『ウリが育てた男』を訪ねて、島の奥地へ行ってみましょう。」
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.