夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

061 カペエペエカウイラ (カナの岩):(4) カマララワルと石


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(前回からの続き)

カマララワルに出会う

それ以来、彼は妻を取り戻せそうな、パワフルな人を探して、あちこち出かけました(*1)。

 

あてもなく放浪する中で、彼が最初に訪(たず)ねたのはカマララワル、

力持ちで勇気がある、と評判の男でした。

 

この男は、悲しげで苦しそうな彼を見て、こう尋ねました。

「そんなに涙を流して、どうしたんだね、おっさん?」

 

妻を盗られたんだ

ハカラニレオは答えました。

「うるせえな、おっかさん。盗られたんだ。」

 

「誰に盗られたんだい?」

「カペエペエに盗られたんだ。」

 

「カペエペエって何者だ?」

「カペエペエ・カウイラだ。」

 

「カウイラって何者だ?」

「カウイラ、あの猛者(もさ))だよ、ハウプの。」

 

木の棒なんかだめだ

「となると、おっさん。 あんたは妻を取り返せんだろう。

わしらが木の棒で攻撃したところで、奴の足元のホコリを叩(たた)くだけだ。

 

しかも奴が木の棒で反撃すれば、そいつがわしらの頭を直撃するぞ。

ほら見ろ! ハウプは滅法(めっぽう)高いんだ。」

 

石を投げるんだ

さてこのカマララワルは、石を投げる力の凄(すご)さで知られていました。

何と彼の体そのものが、片面は石で出来ていて、残りの片面だけが生身の体でした。

 

そこで彼は試しに、大きな石を掴(つか)むと、上に向けて放り投げました。

 

石はどんどん上って行き、遂に大空に突き当たりました。

そして今度は、再び大地に向けて落ち始めました。

 

これ見た彼は、石で出来た側の体を、落ちて来る石に向けました。

すると、石が激突した彼の体は、ガタガタと音を立てたのでした。

 

この様子をじっと見ていたハカラニレオは、悲しそうに言いました。

「もっと強くなきゃ!」

 

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(次回に続く)

 

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.