夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

131 アフウラ:(5) ラナイと祭壇を作る


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(前回からの続き)

ちょっと待って下さい

両親は直ぐに、エレイオを養子にすることにしました(*1)。

そこで大きなブタを殺して、アハ アイナ(祝宴会)をしよう、と話し始めた時のことです(N.1)。

 

エレイオが こう言いました。

 

「ちょっと待って下さい。その前にお尋ねしたいのですが?

ここにいる人たちは皆、あなた方の仲間ですか?」

 

親族たちは信頼できる

両親は口を揃(そろ)えて、こう答えました。

「彼らは私たちの親族です。

 

-- あの霊から見れば、叔父であり、叔母であり、そして従兄弟(いとこ)たちです。

彼らはもう既にあなたのことを、娘の夫または親族、と思っているようです。」

 

すると、エレイオが聞きます。

「たとえどんな事であろうと、彼らはあなた方の言う通りにしますか?」

 

「彼らは信頼できる人たちです。」と両親が答えました。

 

ラナイと祭壇を作る

エレイオは彼らに、大きなラナイ、すなわち上屋、を造るように言いました。

 

出来上がったラナイは、シダ、ジンジャー、マイレ、そしてイエイエで、完全に覆(おお)わせました(N.2)。

--これらの緑の葉は島々に生い茂り、心地良い香りを漂わせています。

 

 

次は祭壇です。ラナイの一方の端に組み立て、相応に飾り付けなければなりません。

 

親族たちは喜んで命令に従いました。

男ども、女たち、そして子供たちが、一生懸命に働いたのです。

 

そのお陰で、2,3時間もすると、全ての構造物が完成してしまいました。

 

祭壇に供物を捧げる

いよいよエレイオは、あの大きなブタを焼くように言いました。

 

さらに色々な供物を、祭壇に捧げさせました。

 

-- 調理済の赤と白の魚、そして、赤、白、および黒の雄鶏、

それから、レレとマオリ種のバナナです(N.3)。

 

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) アハアイナ(ahaaina):

アハアイナは、かつて結婚や戦勝などを記念して催された祝宴会です。現在はルアウ(lū'au)と言う名前に変わり、特別なお祝いの時や、観光客向けに行われています。

(N.2) マイレ(maile), イエイエ(ieie):

マイレは香り高いレイの素材として、古くから愛用されて来ました。またカパ布に香り付けする際にも使われました。学名は "Alyxia stellata"です。

イエイエは、長さ40~80cmの細長くて緑色に輝く葉を持っています。かつてフラの祭壇には、この枝が供えられたそうです。学名は"Freycinetia arborea"です。

(N.3) レレ(lele):

レレは、数多くあるバナナの品種の一つです(学名:Musa x paradisiaca)(*2)(*3)。

かつては、住居の近くではなくヘイアウ(神社)に植えられ、神に捧げる供物とされていました。

 

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E. M. Nakuina, p.147-155.

(*2) M. K. Pukui, S. H. Elbert(1986) : Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press.

(*3) R. C. Ploetz et al.(2007): Banana and plantain--an overview with emphasis on Pacific island cultivars. p.14.