夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

133 アフウラ:(7) 少女の喜びの叫び


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(前回からの続き)

霊を肉体に戻す

プオア(風葬場)に着くと、エレイオはその霊を、少女の足の甲にもたれかけるように置きました(*1)。

 

それから、霊を甲にぴったり密着させると、足の中にギュッと押し込みました。

その一方で、彼はその間ずーっと神に祈り続けていました。

 

するとその霊は、とても穏やかに元の棲家(すみか)に入り、膝(ひざ)まで進んで行きました。

 

 

膝から腰へ

ところがそこで止まると、もはや一歩たりとも進もうとしませんでした。

膝まで来た所で、既に胃が腐敗し始めていることに気付いたからです。

 

霊は腐りかけた物質による汚染に、晒(さら)されたくなかったのでした。

 

しかしエレイオは、彼の祈りの力を駆使することで、嫌がる霊を先に進めることが出来ました。

こうして霊は膝を通り過ぎて、大腿骨のある腰まで上って来ました。

 

腰から喉(のど)へ

ところが、どうにも手に負えない霊は、ここで再び、頑として進まなくなりました。

 

この霊の抵抗に打ち勝つために、彼は自分の祈りにより一層精魂を傾けました

そのお陰で霊は再び進み出し、喉(のど)までやって来ました。

 

嬉しそうな叫び声

だがここでもまた、霊は何らかの障害のために、進めなくなったのでした。

 

一方、この時までには、父、母、そして親族の男たちが、全て集まっていました。

彼らは心配そうにエレイオを取り囲み、彼の霊を操(あやつ)る術を見守っていました。

 

ここで、彼らが祈りで授かったパワーの全てを、エレイオ1人に集中させました。

そのお陰でエレイオのパワーは高まり、彼女の霊を首の先まで進めることが出来ました。

 

そしてこの時、少女は嬉しそうな叫び声を上げたのでした。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E. M. Nakuina, p.147-155.