(前回からの続き)
少女が生き返る
「きっと上手くいくぞ! 」 と、誰も彼もが希望に満ち溢(あふ)れていました(*1)。
そして一同こぞって、これまで以上に心を込めて、祈りを捧げました。
一方、霊の方は、両肘(ひじ)と両手首を通り抜ける時に、僅(わず)かながら最後の抵抗を試みました。
しかしその抵抗も、誇らしげに一致団結した祈りの力により、押し潰(つぶ)されてしまいました。
そして霊は祈りの言葉におとなしく従い、肉体と完全に一体になりました。
こうして、この少女は生き返ったのでした。
再生を祝う宴(うたげ)
彼女は、通常のお清めの儀式を、地元の神官にしてもらいました。
それが終わると、既に準備が整ったラナイ(上屋)に連れて行かれました。
そしてこの時に、カフナ(神官)、少女、両親そして親族たちが、めでたく再会したのでした。
それから、彼らは神々のために用意されたご馳走を、大いに楽しみました。
神々は奉納されたご馳走の、魂とも言える本質的部分だけを、吸い上げるとされていました。
そして、より大きく物質的部分は、信奉者たちに残すのです。
ですから信奉者たちは、しばらくの間、神々のお客様になるわけです。
娘はあなたのものです
ご馳走が終わると、次はフェザー クローク、カパ布、そしてファイン マットの番です。
これらの品々が上屋に運び込まれ、エレイオの前に並べられました。
そして、父親が彼に言いました。
「あなたが生き返らせたこの女性は、あなたのものです。
どうか彼女を妻にめとり、私たちと共にこの地に、とどまって下さい。
そうすれば、あなたは私たちの息子になるでしょう。
そして私たちが娘に注ぐ愛を、あなた方2人で均等に分かち合うでしょう。」
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E. M. Nakuina, p.147-155.