夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

137 アフウラ:(11) カニカニアウラは王女に


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(前回からの続き)

大変貴重な物がある

クキニ(使者)は答えました(*1)。

「もしも死なねばならぬなら、主君の足元で死ぬことこそが、忠臣の願望でした。

 

しかし我が主君よ、もしもそうならば、

それはあなた様にとって、取り返しのつかない大きな損失になるでしょう。

 

と言うのは、今、私の手元には、大変貴重な物があるからです。

 

それはあなた様の名前を、広く世に知らしめる物であり、

かつまた、長く後世の人々にまで引き継がれる物なのです。」

 

フェザー クロークとアヴァを献上

「それで、おまえの言う『物』とは、一体何のことだ?」 王は尋ねました。

そこでエレイオは持っていた包みを開き、王や宮廷に仕える家臣たちに広げて見せました。

 

すると彼らは、目の前の豪華絢爛なフェザー クロークに驚嘆し、じっと見入ったのでした。

このハワイの島々では、未だ聞いたことも無い珍しい物だったからです。

 

言うまでも無いことですが、彼は直ちに許され、再び王室のお気に入りになりました。

 

一方、彼がハナから持ち帰ったアヴァは、王専用の特別品としてとっておかれました。

こちらはその夜、王が神々に奉納する供物になるのです。

 

 

カニカニアウラは王女に

王はエレイオの旅先で起きた出来事を、こと細かく聞きました。

そしてフェザー クロークの、本当のそして元々の所有者が、すぐ近くに居ると知りました。

 

王は彼女を直ちに、自分の面前に連れて来るよう命じました。

その素晴らしい衣装の、お礼を言おうとしたのです。

 

到着した彼女を目の前にして、王はその美しさと奥ゆかしさに、強く心を惹(ひ)かれました。

そして彼女に、王女になって欲しい、と申し出たのでした。

 

ですから、この島の王の何人かは、カカアラネオ(王)とカニカニアウラ(王女)の子孫なのです。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E. M. Nakuina, p.147-155.