夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

036 ペレと大洪水:(2) 海を従えてハワイへ


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(前回からの続き)

夫を探す旅に出る
夫に捨てられたペレは、夫に腹を立て怒り狂いながら、自らも精神的にひどく傷つきました(*1)(*2)。
そして、自分を傷つけた夫を探す旅に出て、ハワイの方にやって来たのです。

さて、その頃のハワイの島々は、広漠とした荒れ地でした。

そこには、海と言うものがありませんでした。
さらに、川を流れる水も無かったのです。

 

海を従えハワイへ向かう
ペレが旅に出ようとすると、両親は彼女に海を与えました。
その海が彼女に付き添い、彼女の乗るカヌーを浮かべて進むのです。

こうして彼女は、海が生んだ洪水の中をカヌーで進み、パクエラの地に着きました。
そして、そこからさらに進んで、カナロアの地に向かいました(N.1)。

 

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彼女は頭から海を前に噴(ふ)き出しながら、進んで行きました。
そしてこの時に、彼女の兄弟たちが、あの有名な古い歌を詠(よ)んだのです。

『 おお海よ、偉大なる海よ!
 海を前へ噴き出せ。
 見よ、海がカナロアの上に噴き出ている! 』

 

(次回に続く)

 

(ノート)
(N.1) カナロア(Kanaloa):
カナロアは、現在のカホオラウェ島の別名であることから、本文でもカホオラウェ島を指している、と考えられています。マウイ島の沖合13km程にあり、ハワイ諸島の主要8島の中で最も小さい島です。
またカナロアは、ハワイの4大神の一柱に数えられ、海の神とされています。

 

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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, III. Pele and the Deluge ,REV. A. O. FORBES, p.36-38.
(*2) A.Fornander and T.G.Thrum(1918): Fornander Collection of Hawaiian Antiquities and Folk-Lore,2nd Series, Memories of the Bernice Pauahi Bishop Museum, Vol.Ⅴ,Bishop Museum Press 1918-1919.