(前回からの続き)
クムカヒ(東風)に乗る
カハワリが海辺から少し漕ぎ進むと、
突然、クムカヒ(東風)が吹き始めました(*1)(N.1)。
彼は幅広の槍をまっすぐ上向きに立てて、カヌーの中に固定しました。
その槍に、マストと帆の二役をさせようとしたのです。
そしてこの帆のお陰で、ほどなくして、彼はマウイ島まで来ました。
そこで彼らは一夜を過ごした後、ラナイ島に進みました。
オアフ島に落ち着く
そしてその翌日、彼らはモロカイ島に行き、そこからさらにオアフ島に進みました。
オアフ島には、彼の父コロノハイラアウ、そして妹カネワヒネケアホが住んでいました
カハワリは、自分を襲った悲惨な出来事の数々を、彼らに話して聞かせました。
それ以来、カハワリは彼らと共に、この地に住み続けたのでした。
(終わり)
(ノート)
(N.1) クムカヒ(東風)(Kumukahi(east wind)); <
クムカヒはハワイ島の最東端に位置する岬の名称です。ハワイ島はハワイ諸島で一番東にあるので、ハワイ諸島全体から見ても、クムカヒは最東端の岬です。
ですからハワイの人々が、東から吹いてくる東風をクムカヒと呼ぶのは、もっともなことです(*2)。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅳ. Pele and Kahawali, From Ellis's "Tour of Hawaii", p39-42.
(*2) John R. K. Clark(1985): Beaches of the Big Island, p.37.