夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

013 ラカの冒険:(1) マウイ島で生まれる


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(新しいお話しの始め)

父ワヒエロアは首長

ワヒエロアは首長で、マウイ島キパフルのカライコイに住んでいました(N.1)(*1)。

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彼は結婚して、ヒナハウェアを妻にしました。

やがて2人の間に、男の子が生まれました。

 

その子はラカと呼ばれた

その子の育ての母は、ヒナハウェアの母、ヒナホワナでした。

彼女はアラエヌイという場所で、その子を手塩にかけて育てたのでした(N.2)。

彼女はその子を、「ラカ・ア・ワヒエロア」と呼んでいました(N.3)。

 

父がハワイ島で殺された

彼は、両親に大変可愛がられました。

 

彼の父親は、息子におもちゃをあげようと思いました。

そのおもちゃとは、アラ-コイウラ・ア・カーネです(N.4)。

そこで、ある日、父はそのおもちゃを探して、ハワイ島に行きました。

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そして、父がハワイ島カウのプナルウに上陸した時のことです(N.5)。

彼はケアナ・ア・カウアレフと呼ばれる洞窟の中で殺されてしまったのです。

 

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) キパフル (Kipahulu) :

キパフルは、かつてマウイ島にあった12のモク(Moku)の1つで、島の南東部にありました。

なお現在のマウイ島は4つの地区(District)に分けられており、キパフルはハナ地区の一部になっています。

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(N.2) アラエヌイ (Alaenui) :

アラエヌイは、かつてキパフル・モク内にあった6つのアフプアア(Ahupua'a)の1つで、モクの北東部の大半を占めていました。

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(N.3) ラカ・ア・ワヒエロア (Laka-a-wahieloa) :

ラカ・ア・ワヒエロアの中で、「ラカ」が男の子の名前、「ワヒエロア」はその父の名前、そして「ア」は属性を表しています。従ってこの呼称を和訳すると 、「ワヒエロアの子ラカ」 となります。

(N.4) アラ-コイウラ・ア・カーネ(Ala-Koiula a Kane) :

アラ-コイウラ・ア・カーネの意味については、原文にも記載がありません。ここでは、この語を構成する3つの語の意味をメモしておきましょう。(1) "alā"は ①石(ポイをつぶす道具,手斧(ておの),フラの小道具),②小道、(2) "ko'i'ula"は虹の小道、そして (3) "Kane"はカーネ(生命の神)です。

(N.5) カウ(Kau) :

カウは、かつてハワイ島にあったカウ・モク(Moku)を指しますが、現在はカウ地区(District)と呼ばれています。

 

(注記)

(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Laka's adventure Thos.G.Thrum, p.111-114.