夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

037 ペレと大洪水:(3) ハワイが海に沈む


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(前回からの続き)

ハワイが海に沈む
ところが、ペレが噴き出す海のために、海面はどんどん上昇し続けました(*1)。
そしてハワイの島々は、次々と海の中に沈んで行きました。

最後まで見えたのは、あの偉大な山々、ハレアカラ、マウナ・ケア、そしてマウナ・ロアの頂上だけでした(N.1)。

 

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それ以外は何もかも、全てが海水に覆われてしまったのです。

それから暫(しばら)くすると、今度は、海の水が少しずつ引きはじめました。
ハワイの島々が再び顔を出し、海面が現在の高さになると、そのまま落ち着きました。

 

カヒナリの海
この出来事は 「カイ・ア・カヒナリ」 、すなわち「カヒナリの海」と呼ばれています。

なぜならその「海」は、ペレが彼女の母カヒナリからもらった、贈り物だからです(N.2)。
そしてその海が、唯一ペレだけをハワイに運んで来たのです。

 

故郷からハワイへ
ペレとその家族は、これを機に故郷ハパクエラに見切りをつけ、ハワイにやって来ました。
最初にペレが、そしてその後を追うように、彼女の家族が来ました。

それ以来、彼女らはこの愛すべきハワイの地に、住み続けているのです。

(次回に続く)

 

(ノート)
(N.1) ハレアカラ、マウナ・ケア、そしてマウナ・ロア(Haleakala, Maunakea, and Maunaloa):
ハレアカラ、マウナ・ケア、マウナ・ロアは、ハワイ諸島で最も標高の高い3山です。

 

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最高峰はマウナ・ケア山(4,207m,ハワイ島)、2番目がマウナ・ロア山(4,169m,ハワイ島)、3番めがハレアカラ山(3,055m,マウイ島)です。なお、4番目はフアラライ山(2,521m,ハワイ島)で、3番目よりも約500m低くなります。
(N.2) カイ・ア・カヒナリ(Kai a Kahinalii ):
本文中のカヒナリはペレの母の名前ですが、これとは別にハワイには、カヒナリ(Kahina.liʻi)という名の伝説上の首長(chief)がおり、その時代に大洪水が起きたとされています。そして、その洪水とは津波のことだった、とも推測されています。

 

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, III. Pele and the Deluge ,REV. A. O. FORBES, p.36-38.