(前回からの続き)
ラカが父を訪ねる
長く顔を見せなかったラカが、ある日、 久しぶりに父を訪ねてやって来ました(*1)。
ラカの顔を見ると、母はこう言いました。
「お父さんのことなら、おばあさんに聞いてみなさい。」
そのおばあさんは、彼に尋ねられてこう答えました。
「お前のお父さんはハワイ島に行ったんだよ。
そしてその島で死んだ、と噂(うわさ)されているんだよ。」
月のような葉の木をお探し
この話を聞いて、ラカはおばあさんに教えを乞(こ)いました。
「お父さんを捜すには、どうしたらいいの?」
すると、おばあさんはラカに言いました。
「山に行きなさい。
そして、月の形をした葉の木を探すんだよ。
そう、ヒロの夜かホアカの夜、その夜の月に似た葉をつけた木だよ(N.1)。
それが、カヌーを造るのに良い木なんだよ。」
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) ヒロ(Hilo), ホアカ(Hoaka):
ヒロとホアカは共に、満ち欠けする月のハワイにおける呼称です。
ホアカは日本で言う三日月(みかづき)、そして、ヒロはその前日の二日月を指しています。なお、ヒロの前日はムク(Muku)で、日本で言う新月(一日月)です。
(注記)
(*1) T.G.Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, X. Stories of the Menehunes, Laka's adventure Thos.G.Thrum, p.111-114.