夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

038 ペレと大洪水:(4) 火口を渡り歩く


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(前回からの続き)

カウアイ島からモロカイ島へ
ハワイの地に初めて到着したペレは、まずカウアイ島に住みました(*1)。
そしてそこから、彼女はモロカイ島のカラウパパに移りました(Fn.(1) )。
彼女が住んだのは、半島の付け根近くにある、カウハコの火口の中でした。

 

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西マウイから東マウイへ
その後、ペレは東隣にあるマウイ島に向かいました。
そして、ラハイナルナの近くにある、プウライナをめざしました(Fn.(2) )。
そうです、彼女はそこで、あのプウライナ火口を掘り抜いたのです。

それから、彼女はマウイ島を東に進み、東マウイのハレアカラ山に移りました。
そして彼女はそこにとどまり、山頂をえぐり取って、あの巨大なクレーター作りました。

 

今はハワイ島のキラウエア
このようにペレは、ハワイの島々を西から東へと、渡り歩いて来ました。
そして最後に、東はずれのビッグ・アイランド、ハワイ島にたどり着いたのです。

そこでペレが落ち着いた場所は、キラウエア火山でした。
そしてそれ以来ずっと、彼女はこのキラウエアにいるのです(Fn.(3) )。

 

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(原文の脚注)
Fn.(1) カラウパパ(Kalaupapa):
本書(Thrum(1907)出版時、カラウパパにはハンセン病患者居住施設(Leper Settlement)が置かれていました。今は、カラウパパ国立歴史公園(Kalaupapa National Historical Park)です。
Fn.(2) プウライナ(の丘)(Puulaina):
この丘は西マウイ・ラハイナ沖合の停泊地から見えます。その方角はラハイナルナ学校の北側で、学校の近くにあります。
Fn.(3) ペレの居場所(where is Pele):
ペレの移動と火山の活動の関係には、大変興味深いものがあります。
すなわち、伝承されて来たペレの移動経路が、火山の地質観測結果と符合するのです。
具体的には、ハワイ諸島において、一番古い火山活動はカウアイ島で、一番新しいのがハワイ島です (---訳者記)。

(終わり)

 

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, III. Pele and the Deluge ,REV. A. O. FORBES, p.36-38.