(前回からの続き)
太陽の動きを観察する
マウイは最初に、東マウイのハマクアにある、ワイロヒへ行きました(N.1)。
そこで彼は、太陽の色々な動きを観察しました。
そして太陽が昇るのは、ハナの方向からであることを、確認しました(N.2)。
ハレアカラの真上を通るぞ
彼は次にハレアカラ(山)に登りました(N.3)。
そして、太陽にはいつもの経路があること、
それが、あのハレアカラの真上を通ることを、確かめました。
強いロープを作る
彼はそれから再び、家に戻りました。
そして数日後、今度はワイヘエのパエロコ、と呼ばれる場所へ行きました(N.4)。
そこで彼は、ココナツの木という木を、全て切り倒しました。
そして、得られたココナツ殻(から)、膨大な量の繊維を採取しました。
この繊維を使って、彼は強靭なロープを作り上げたのでした。
俺が勝ったらお前をぶっ殺す!
これを見たあるモエモエが、マウイに向かって、嘲(あざけ)るように言いました。
「お前が太陽を捕まえるって? そんなこと出来るはずが無い。
お前なんか英雄でも何でも無い、ただの怠け者じゃないか。」
すると、マウイはこう答えました。
「俺が敵をやっつけて、望みが叶(かな)ったら、その時はお前をぶっ殺してやる!」
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) ハマクア(Hamakua):
ハマクアとは、マウイ島は東マウイの最北部にあったモク(moku)の呼称ですが、2つのハマクアがあったようです。
その第1番目はハマクア・ロア(Hāmākualoa)で、"loa(=長い)"が付加されている通り、長くて大きいモクです。
第2番めはハマクア・ポコHāmākuapokoで、1番目の西隣にあり "poko(=short)"と呼ばれるように、少し短かめのモクです。
(N.2) ハナ(Hana):
ハナは、マウイ島東マウイの最東部にあったモクです。
(N.3) ハレアカラ(Haleakala):
ハレアカラは、東マウイを形成する楯状火山で、マウイ島の最高峰(3,055m)です。
その名称 "Hale-a-ka-lā"は、hale=house, a=of, ka=the, la=sun, ですから、「太陽の家」と訳せます。
この名は、この「マウイが太陽を捕まえる」のお話し、に由来すると言われています。
(N.4) ワイヘエ(Waihee):
ワイヘエは、マウイの家があるカハクロアの、南東隣にあるアフプアアです。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales,Ⅱ.Exploits of Maui. Rev.A.O.Forbes, Ⅰ. Snaring the Sun, p.31-33.