夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

027 太陽を捕まえる:(2) 敵を観察しロープを作る


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(前回からの続き)

太陽の動きを観察する

マウイは最初に、東マウイのハマクアにある、ワイロヒへ行きました(N.1)。

そこで彼は、太陽の色々な動きを観察しました。

 

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そして太陽が昇るのは、ハナの方向からであることを、確認しました(N.2)。

 

ハレアカラの真上を通るぞ

彼は次にハレアカラ(山)に登りました(N.3)。

 

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そして、太陽にはいつもの経路があること、

それが、あのハレアカラの真上を通ることを、確かめました。

 

強いロープを作る

彼はそれから再び、家に戻りました。

そして数日後、今度はワイヘエのパエロコ、と呼ばれる場所へ行きました(N.4)。

 

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そこで彼は、ココナツの木という木を、全て切り倒しました。

そして、得られたココナツ殻(から)、膨大な量の繊維を採取しました。

 

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この繊維を使って、彼は強靭なロープを作り上げたのでした。

 

俺が勝ったらお前をぶっ殺す!

これを見たあるモエモエが、マウイに向かって、嘲(あざけ)るように言いました。

 

「お前が太陽を捕まえるって? そんなこと出来るはずが無い。

お前なんか英雄でも何でも無い、ただの怠け者じゃないか。」

 

すると、マウイはこう答えました。

「俺が敵をやっつけて、望みが叶(かな)ったら、その時はお前をぶっ殺してやる!」

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) ハマクア(Hamakua):

ハマクアとは、マウイ島は東マウイの最北部にあったモク(moku)の呼称ですが、2つのハマクアがあったようです。

その第1番目はハマクア・ロア(Hāmākualoa)で、"loa(=長い)"が付加されている通り、長くて大きいモクです。

第2番めはハマクア・ポコHāmākuapokoで、1番目の西隣にあり "poko(=short)"と呼ばれるように、少し短かめのモクです。

(N.2) ハナ(Hana):

ハナは、マウイ島東マウイの最東部にあったモクです。

(N.3) ハレアカラ(Haleakala):

ハレアカラは、東マウイを形成する楯状火山で、マウイ島の最高峰(3,055m)です。

その名称 "Hale-a-ka-lā"は、hale=house, a=of, ka=the, la=sun, ですから、「太陽の家」と訳せます。

この名は、この「マウイが太陽を捕まえる」のお話し、に由来すると言われています。

(N.4) ワイヘエ(Waihee):

ワイヘエは、マウイの家があるカハクロアの、南東隣にあるアフプアアです。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales,Ⅱ.Exploits of Maui. Rev.A.O.Forbes, Ⅰ. Snaring the Sun, p.31-33.