夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

149 カアラとカアイアリイ:(3) 大王がやって来た


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(前回からの続き )

カメハメハ大王がやって来た

この有名な漁場に、ハワイの偉大なる英雄がやって来ました。

この島や他の島々を制圧した彼は、深海に税を課そうと考えたのです。

 

 

彼は戦闘用のカヌーの艦隊を引き連れてやって来ました。

随行したのは、彼の忠実なコア、すなわち戦士たち、彼の一族である首長たち、神官たち、そして女性たち、さらには彼らの従者たちです。

 

断崖上の要塞から対岸を見下ろす

彼は、ここに家を持っていました。

 

 

岩だらけの断崖が、湾の東側にそびえています。

その断崖上にはパ、すなわち壁が、一部分だけ残されています。

 

そしてそこに散在する石は、かつての要塞が崩れ落ちたものです。

この要塞はかつて、湾の対岸にある神社、村、そして、湾を見下ろしていました。

 

スポーツ万能で戦いが大好き

カメハメハがここケアリアにやって来たのは、神に祈りを捧げるよりも、むしろスポーツのためでした。

 

イカ ボール投げ、槍(やり)投げ、そして槍払いのどれ一つ見ても、

コハラの首長ほどに、これらを愛した人はいたでしょうか?

 

なおここで、槍払いとは、裸の胸をめがけて投げられる、沢山の槍を払い除けるスポーツです( N.1)。

 

サーフィンでいい波を見つけると、彼は喜んでそのトップに乗りました。

また嵐がやって来ると、彼は大喜びでカヌーを一人で操(あやつ)り、嵐に向かって沖に出ました。

 

彼は人間と戦ったように、深海の怪物たちとも戦ったのでした。

 

彼はこの湾内にたくさんいる、巨大なサメを捕まえました。

 

そしてまた、ウナギ目の魚やウミヘビを、彼の両手の物凄(ものすご)い握力で、捕まえたものでした。

このあたりの海では、これらの魚はとても生かしておけぬ存在である上に、他の魚や人間の手に負えぬ厄介者でした。

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) 槍払い(thrust aside):

かつてカメハメハ大王は、彼に向けて同時に放たれた6本の槍を、見事に払い除(の)けたと伝えられています。

彼は飛来してきた3本の槍を、片手で受け止めました。また2本は、もう一方の手に掴(つか)んだ槍で叩(たた)いて、へし折りました。そして残りの1本からは、素速く身をかわしたのでした(*2)。

 

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson, p.156-180.

(*2) Julie Stewart Williams(1992): Kamehameha The Great, Kamehameha School Press. p.38.