(前回からの続き )
カメハメハ大王がやって来た
この有名な漁場に、ハワイの偉大なる英雄がやって来ました。
この島や他の島々を制圧した彼は、深海に税を課そうと考えたのです。
彼は戦闘用のカヌーの艦隊を引き連れてやって来ました。
随行したのは、彼の忠実なコア、すなわち戦士たち、彼の一族である首長たち、神官たち、そして女性たち、さらには彼らの従者たちです。
断崖上の要塞から対岸を見下ろす
彼は、ここに家を持っていました。
岩だらけの断崖が、湾の東側にそびえています。
その断崖上にはパ、すなわち壁が、一部分だけ残されています。
そしてそこに散在する石は、かつての要塞が崩れ落ちたものです。
この要塞はかつて、湾の対岸にある神社、村、そして、湾を見下ろしていました。
スポーツ万能で戦いが大好き
カメハメハがここケアリアにやって来たのは、神に祈りを捧げるよりも、むしろスポーツのためでした。
マイカ ボール投げ、槍(やり)投げ、そして槍払いのどれ一つ見ても、
コハラの首長ほどに、これらを愛した人はいたでしょうか?
なおここで、槍払いとは、裸の胸をめがけて投げられる、沢山の槍を払い除けるスポーツです( N.1)。
サーフィンでいい波を見つけると、彼は喜んでそのトップに乗りました。
また嵐がやって来ると、彼は大喜びでカヌーを一人で操(あやつ)り、嵐に向かって沖に出ました。
彼は人間と戦ったように、深海の怪物たちとも戦ったのでした。
彼はこの湾内にたくさんいる、巨大なサメを捕まえました。
そしてまた、ウナギ目の魚やウミヘビを、彼の両手の物凄(ものすご)い握力で、捕まえたものでした。
このあたりの海では、これらの魚はとても生かしておけぬ存在である上に、他の魚や人間の手に負えぬ厄介者でした。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) 槍払い(thrust aside):
かつてカメハメハ大王は、彼に向けて同時に放たれた6本の槍を、見事に払い除(の)けたと伝えられています。
彼は飛来してきた3本の槍を、片手で受け止めました。また2本は、もう一方の手に掴(つか)んだ槍で叩(たた)いて、へし折りました。そして残りの1本からは、素速く身をかわしたのでした(*2)。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson, p.156-180.
(*2) Julie Stewart Williams(1992): Kamehameha The Great, Kamehameha School Press. p.38.