(前回からの続き)
カハラオプナの悲報が届く
カハラオプナが死ぬと、その若い女性の霊は、すぐさま家に戻りました(*1)。
そして眠っていた母に、彼女に降りかかった痛ましい出来事を伝えました。
母は目を覚ますと、娘を惜しんで嘆き悲しみました。
そして 「サメが人を襲った!」 と、人々に緊急事態の発生を伝えました。
この話が本当だと言うことは、恐怖に怯えたサーファーたちの証言で、直ぐに確認されました。
彼らはカハラオプナの恐ろしい最後を目の当たりにして、一人残らず岸辺に逃げ帰って来たのでした。
彼女を襲ったサメを追え!
カヌーが海に浮かべられ、乗員が配備されました。
そしていよいよ、サメとその犠牲者の追跡が始まりました。
追跡すること自体は、血痕をたどれば良いので容易だったでしょう。
サメは、海面から十分離れて深いものの、カヌーからは見える所を泳ぎました。
しかし追手が用意した、魚を突く槍が威力を発揮するには、距離があり過ぎました。
サメが彼女を食い尽くす
こうしてサメは、彼らの長い追跡をかわしながら、はるばるワイアナエまでやって来ました(N.1)
そして追手が何もかも見通せる、海底の広い砂地に向かいました。
彼はそこで、若い女性を少しも残さず食べ尽くしました。
もう2度と彼女を生き返らせまい、と考えたからです。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) ワイアナエ(Waianae):
ワイアナエは、オアフ島の西海岸地域の名称であるとともに、その地域を代表する町の名でもあります。 この地域は、オアフ島の中でも最も観光客が少なく、ハワイの豊かな自然と文化が残されている、と言われています。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.