(新しいお話の始め)
ラナイ島南西岸の遺跡
かつて、ラナイ島の南西岸にあるケアリアの地に隣接して、プウホヌアと呼ばれる駆け込み寺がありました(*1)(N.1)。
現在そこには古いヘイアウ、すなわち神社の跡があり、その地域一帯はカウノル遺跡と呼ばれています(N.2)。
その遺跡は、深く狭い渓谷の河口に広がっています。
渓谷の両側に伸びる断崖絶壁は、海の中にまで突き出ています。
その切り立った断崖に縁取られて、1つの湾が形成されています。
断崖上のクアハ(祭壇)
西側の断崖上には、石を敷き詰めた舞台があります。
人々はここを、クアハと呼んでいます(N.3)。
その外側には、狭い通路を隔てて分厚(ぶあつ)く高い壁があり、クアハを完全に取り囲んでいます。
その他の壁や建造物は、断崖上から下に向かって伸びています。
斜面はひな段状に整備され、石が敷き詰められています。
それは、海辺の石が潮流で摩耗して、丸みを帯びた辺(あた)りまで続いています。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) ケアリア (Kealia):
ケアリアはかつての行政区画アフプアア(ahupua'a)の名称です。そのケアリアのすぐ西隣にあったアフプアアがカウノルです。
(N.2) カウノル遺跡 (remains of Kaunolu)
カウノル遺跡は、現在、米国の国家歴史登録財に登録されています。詳細は、米国公園局(U.S. National Park Service)のホームページ内の "Kaunolu Village Site" を参照下さい。
(N.3) クアハ (Kuaha)
クアハは ハワイ語 "kuaʻaha" の短縮形で、祭壇を意味する語です(*2)。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W. M. Gibson, p.156-180.
(*2) M. K. Pukui, S. H. Elbert(1986) : Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press.