(前回からの続き)
プウペヘを墓に納める
マカケハウは亡き愛する人を、墓に納める作業を終えました(*1)。
そして彼女の墓の上に、最後の石を置きました。
彼はそれから両腕を広げると、プウペヘの死をこう嘆き悲しみました。
マカケハウの哀歌が響く
「 おー、プウペヘよ、一体どこに行ったのだ?
マラウエアの洞窟の中?
おいしい水を持って来てあげようか?
あの山の水を。
ウアウを捕まえて来ようか?
それにパラの根、そしてオヘロの実を。
あなたは今、ホヌ(ウミガメ)を焼いているの?
それから、赤くて甘いハラの実も?
僕はマウイのカロを叩(たた)こうか?
一緒にヒョウタン容器に浸そうか?
鳥や魚は苦(にが)い、
そして山の水は酸(す)っぱい。
もう、それを飲むのはやめよう。
アイプヒと一緒に飲むことにしよう(N.1)、
あのマネレ湾に棲む巨大なサメと一緒に。」
海へ身を投げる
この悲しいうめき声がやむと直(す)ぐに、マカケハウは岩塊上から、沸き立つ大波の中に飛び込みました。
彼の体は大波や岩に叩(たた)き潰(つぶ)され、砕かれてしまいました。
この悲しい光景を見守っていた人々は、ズタズタになった遺体をしっかりと保護しました。
そしてこのマカケハウの遺体は、丁寧にマネレの墓地に埋葬されたのでした。
(終わり)
(ノート)
(N.1) アイプヒ(Aipuhi):
「アイプヒ」とは巨大なサメの名前です。アイプヒが棲んでいた場所はプウペヘ(puupehe)の西隣で、現在は「サメの湾(Shark's bay)」と呼ばれる小さな湾でした。
このアイプヒは、サメの姿でこの世に現れた守護神だ、とも言われています(*2)。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 16. The Tomb of Puupehe, A Legend of Lanai, From "The Hawaiian Gazette", p.181-185.
(*2) Kepā Maly(2014): A Field Guide to Lana'i's Storied Places, People, Resources, and Historic Events, Dec. 2014 v.2, p.108.