(前回からの続き)
彼女と2人だけにして
彼らは埋葬しようとして、彼女の遺体を準備しました(*1)。
そして、彼女をマネレの墓地に納めようとした、その時でした。
マカケハウが、強くこう願い出ました。
「もう一晩だけ、亡き愛する人と、2人だけにさせて下さい。」
こうして彼は望み通り、そこに残されました。
あの海の岩塊の上だ
ところが次の日、そこには遺体も無ければ、嘆き悲しむ恋人の姿も、見えませんでした。
人々が暫(しばら)く探していると、あの岩塊、海にぽつんと立つ塔の上に、マカケハウの姿が見えました。
彼はその天辺(てっぺん)で、黙々と石を積み上げていました。
驚いたラナイ島の人々は、近くの断崖上から、その様子を見つめていました。
また、何人かは海にカヌーを出して、柱状の岩塊の周囲を回りました。
岩塊に道は無い
それでもまだ、彼らは不思議に思っていることがあります。
なぜって、彼が岩の上まで登った道、の痕跡さえもなかったからです。
その上、岩の面はどこも皆、垂直に切り立っているか、そうでなければ海に突き出しているのです。
神に助けられた
そこで、古くからこんな風に信じられて来ました。
「ある種のアクア(神のような存在)、カネコア、もしくはケアウェマウヒリ(守護神)が、マカケハウの叫び声を聞いて現れたのだろう。
そして彼を助けて、死んだ少女と一緒に、岩塊の天辺(てっぺん)まで導いたのだ。」
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 16. The Tomb of Puupehe, A Legend of Lanai, From "The Hawaiian Gazette", p.181-185.