夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

145 プウペヘの墓:(7) 岩塊に道は無い


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(前回からの続き)

彼女と2人だけにして

彼らは埋葬しようとして、彼女の遺体を準備しました(*1)。

そして、彼女をマネレの墓地に納めようとした、その時でした。

 

マカケハウが、強くこう願い出ました。

「もう一晩だけ、亡き愛する人と、2人だけにさせて下さい。」

 

こうして彼は望み通り、そこに残されました。

 

あの海の岩塊の上だ

ところが次の日、そこには遺体も無ければ、嘆き悲しむ恋人の姿も、見えませんでした。

 

人々が暫(しばら)く探していると、あの岩塊、海にぽつんと立つ塔の上に、マカケハウの姿が見えました。
彼はその天辺(てっぺん)で、黙々と石を積み上げていました。

 

驚いたラナイ島の人々は、近くの断崖上から、その様子を見つめていました。

また、何人かは海にカヌーを出して、柱状の岩塊の周囲を回りました。

 

岩塊に道は無い

それでもまだ、彼らは不思議に思っていることがあります。
なぜって、彼が岩の上まで登った道、の痕跡さえもなかったからです。

 

その上、岩の面はどこも皆、垂直に切り立っているか、そうでなければ海に突き出しているのです。

 

神に助けられた

そこで、古くからこんな風に信じられて来ました。

 

「ある種のアクア(神のような存在)、カネコア、もしくはケアウェマウヒリ(守護神)が、マカケハウの叫び声を聞いて現れたのだろう。

そして彼を助けて、死んだ少女と一緒に、岩塊の天辺(てっぺん)まで導いたのだ。」

 

 

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 16. The Tomb of Puupehe,  A Legend of Lanai,  From "The Hawaiian Gazette", p.181-185.