夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

125 オアフヌイ:(12) 息子を見捨てた妻を殺す


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(前回からの続き)

妻に息子たちの消息を尋ねる

父であり夫でもある男(レフアヌイ)は、それから大股で、自分の寝家(ねや)に向かいました(*1)。

そこでは彼の妻が、一番下の子を両腕に抱いて眠っていました。

 

 

夫は妻を呼び起こすと、「息子たちはどうした? 」 と尋ねました

母は只々(ただただ)涙を流して泣くだけで、何も答えませんでした。

 

王に抵抗すべきだった

彼はこう言って、彼女を非難しました。

「お前はだいたい、弟に尽くし過ぎだ。

 

それに子供たちを大人(おとな)しく、あいつに渡すとは一体全体何事だ!

そんなことをすれば、あの冷酷な怪物野郎の餌食になるに決まっている。」

 

次に、彼女に王家の現状を思い起こさせました。

 

「お前には弟と同じだけの権力がある。そして、弟の方はとても評判が悪い。

だからお前は弟に抵抗すれば良かったのだ。

 

そして家臣たちの助けを借りながら、子供たちを守るべきだったのだ。

もしもそうしていたら、王は殺されて、子供たちは救われていただろう。」

 

私よりも弟を選んだ

それから、彼は彼女にこう伝えました。

 

「お前は私の子供たちが殺されても、それが弟のためなら仕方ない、と諦(あきら)めたのだ。

だから私はその仕返しに、あいつを殺してやったのだ。」

 

彼の話はさらに続きました。

 

「お前は、私と私の家族よりも、お前の弟の方を選んだのだ。

だからお前はもう2度と、私と私の家族と会うことは無いだろう。」

 

こう言いながら、彼は彼女の両腕から眠っている子供を奪い取り、その家から去ろうとしました。

 

お前も弟のところへ行け

可愛そうに、妻であり母でもある女は、彼の後を追いかけました。

そして夫に飛びつくと、その両膝(ひざ)にしがみ付いて、引き留めようとしました。

 

しかし父の方は、我が子を失った喪失感と、彼女の愛情の薄さのために、まるで気が狂ったようでした。

何故(なぜ)なら彼女の愛情は、自分の子供にでは無く、残虐で非人間的な弟により強く注がれている、と思えたからです。

 

そこで父はこう叫びながら、あらん限りの力で彼女に殴りかかりました。

「よーし、それなら、弟の後について行け。」

 

それから彼は、急いでそこから走り去り、家臣たちも1人残らずその後を追いました。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.