(前回からの続き)
人食いが王の近くに移り住む
ロ・アイカナカ、人食い首長らの残党は、こう呼ばれています(*1)(N.1)。
彼らはノース・ショアから追われ、ヘレマノの山側に住むよう強制されました。
そこは一つの居住区で、王族・神官の専用地の、すぐ外側にありました。
そして、この時の王は若い男で、オアフヌイと呼ばれていました。
王とその姉の一家
王の姉であるキリキリウラは、弟の王にとっては、母のような存在でもありました。
そして彼女は、王家の様々な権限や特権を、王と平等に分け合っているようでした。
この姉は、レフアヌイと言う名の首長と結婚しました。
彼は神官の血筋の人でしたが、それ以外の点では、王家と直接的な関係はありませんでした。
彼女は3人の子の母で、年上の2人が男の子、一番下は女の子でした。
彼らはみんな一緒に、王家の敷地の囲いの中に住んでいました。
しかし、その当時の習慣により、建物は別々でした。
人食い首長と王オアフヌイ
さて、ヘレマノの山側に住み着いたロ・アイカナカは、始めは大人(おとな)しくしていました。
王家の家臣たちと交流する際も、彼らはずーっと慎重で分別がありました。
そして若い王を訪問しては、見る限り如何にも謙虚そうに、敬意を表したのでした。
また南方の首長と直属の家臣たちは、王オアフヌイに取り入ろうとご機嫌取りをしました。
すると王は、彼らの卒(そつ)の無いもの柔らかな態度に、強く心を引かれました。
こうして王は、首長らをご馳走に招待したのでした。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) ロ・アイカナカ(Lo Aikanaka):
ロ・アイカナカは、3つの語(Lo, ai, kanaka)を合成したハワイ語です。各々の語の意味は、Lo= A line of Oʻahu chiefs=オアフ島の1首長の家系「ロ家」、ai=eat=食べる、kanaka=man=人、ですから、この3つを合成したロ・アイ・カナカは、 「人食い首長(のロ家)」 を意味します。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.