夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

093 カハラオプナ:(18) 策略を練る


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(前回からの続き)

カハラオプナの心は変わらない

若者は埋められていた彼女(カハラオプナ)を救い出し、復活させたのです(*1)。

ですから、彼女を花嫁にしたいと思ったのも、当然のことでした。

 

ところが、その女性はこう言って、彼のプロポーズを断ったのでした。

「カウヒが生きている限り、私は彼のもので、他の誰のものでも無いのです。

 

なぜって私の体は、言ってみれば、彼の食物で育ったのですから。

ですから、その食物が彼の物だったように、私の体も彼の物なのです。」

 

カウヒを死刑にするんだ!

そこで若者の兄は、弟にこう助言しました。
「何とかして、カウヒを死刑にするんだ!」

 

そのために彼らはカハラオプナの両親と話し合い、未だカウヒが知らない彼女の最後の復活を、秘密にしておくことにしました。

 

カハラオプナのメレを覚える

それから若者は、カハラオプナが歌ったメレを覚え始めました(N.1)。

そうです、あの死に至る旅の間に、愛する人に向けて歌った、メレというメレを全部です。

 

これらの歌をうまく歌えるようになると、彼は次にキル・ハウス(遊戯・ゲーム場)を探しました(N.2)。

そこは、王や高位の首長たちがゲームを楽しむ家で、カウヒはきっとそこにいるからです。

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) メレ(mele):

メレはハワイ語で、日本語で言う 「歌」 全般 および 「詩」 を意味し、英語 の"chant" に対応する語です。

(N.2) キル・ハウス(kilu house):

キル・ハウスとは、キル(kilu) と呼ばれる大変人気のあったゲーム、を行うための家でした(*2)。

この家の中に入って、ゲームを楽しめるのは王族だけ、と決められていました。

現代のボーリングと若干似ていますが、ボールの代わりにキルを使いました。そのキルは、ココナッツ・シェルを割って作りました。

 

 

各プレイヤーは、ゲームを始める前にメレを歌いました。本文中で若者がメレを覚えたのは、これに備えたものです。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina, p.118-132.

*2) David Malo(1898): Hawaiian Antiquities, translated by N.B.Emerson, Honolulu Hawaiian Gazette, Chapter 42 Sports and Games: Kilu.