夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

120 オアフヌイ:(7) レフアヌイが魚取りに行く


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(前回からの続き)

王家の男たちの食事

さて王が在宅の場合は、王家の男たちは誰もが皆、王と一緒に食事を摂(と)りました(*1)。

 

その中には王の姉の夫であるレフアヌイと、彼らの息子たち2人もいました。

息子たちは、健康で丸ぽちゃの幼い少年で、年齢は8歳と6歳位でした。

 

ワイアルアの魚が欲しい

ある日の朝食の後、ワイアルアに打ち寄せる波の轟(とどろき)が、はっきりと聞こえました。

そこで王はこう言いました。

 

「ワイアルアのウコア池の魚たちは、きっとマカハ(水門)に押し寄せているであろう(N.1)。

あー、アホレホレを何匹か欲しいものだ(N.2)。」

 

 

この王の言葉は、現実には義理の兄にこう命令したのと同じでした。
「お前があそこに行って、魚を取って来い。」 

 

なぜなら、そこに居合わせた一番上位の首長が、義理の兄レフアヌイだったからです。

なおそこには、王の甥(おい)である2人も居ましたが、この仕事をするには、未だ幼(おさな)過ぎました。

 

レフアヌイがワイアルアに行く

こうして、キリキリウラの夫であるレフアヌイは、ワイアルアに行きました。
彼に随行したのは、彼自身の家族の召使いが数人、そして何人かの王直属の家臣でした。

 

 

彼らがマカハに行ってみると、そこには魚がぎっしり詰まっていました。

そして暫(しばら)くすると、彼らは忙しそうに、魚をすくい上げては洗って塩漬けにする作業に、没頭していました。

(次回に続く)

 

 

(ノート)

(N.1) ウコア池(Ukoa pond): 

ウコア池は養魚池(fishpond)の一つで、ワイアルアの海岸付近にありました(*2)。

この池には女神ラニワヒネ(Lani-wahine)が住み、オオトカゲ(mo'o)の姿で人々の前に現れる、と伝えられています。

またこの池では不思議な魚を目にすることがあるそうです。例えば、左面はボラ(mullet)だが右面はヒメジ(kūmū)、という魚がいるのです.

(N.2) アホレホレ(aholehole)): 

アホレホレはアホレ(ā.hole)の幼魚です。アホレはハワイ語名で、その学名 "Kuhlia sandvicensis"が示すように、ハワイの固有種です(*3)。

この魚は、時には悪霊を追い払う魔術に使われ、また時には「海の豚」と呼ばれて、豚に代わる供物として神に捧げられました。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.

(*2) Pukui et al.(1974): Place names of Hawaii, Reviced and Expanded Edition, p.214.

(*3) M.K. Pukui, S.H. Elbert(1986) : Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press.