(前回からの続き)
王は人肉に取り憑(つ)かれた
オアフヌイの臣民たちは、こんな風にほのめかし始めました(*1)。
「わしらの若い王は、あの饗宴で人肉の味を覚えて、病みつきになったのだ。
そして今では王の残忍な食欲が、あの恐ろしい料理を追い求めているのだ。
だから彼は王室のあらゆる慣例を破って、身分が下のあいつらを頻繁に訪ねるのだ。」
人々の不満が高まる
オアフヌイが彼の新しい友達たちと親しくすることに、人々は反対でした。
そしてそれは次第に、公然と口にされるようになりました。
しかも、初めはささやくようだった声が、だんだんと声高にかつ激しくなって行きました。
側近の忠告を聞き入れる
これに気付いた王の側近の首長たちや高位の神官は、不安に駆(か)られました。
そこで彼らは王に、人々が噂している訪問を、やめるよう懇願しました。
さらに、もしもやめなければ、その先何が起きようが彼らは責任を負えない、と詰め寄りました。
こうして王は、彼らの忠告を聞き入れざるを得なくなりました。
そして、ロの家には近づかない、と約束したのでした(N.1)。
それ以後、王はかなり長い間、この約束を守り続けました。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) ロの家(Lo's):
「ロの家」とは、「ロ・アイカナカの家」を略記したものです。 原文も"Lo's"と略記されていますが、これまでの記述から "Lo = Lo Aikanaka"であることがわかります。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.