夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

119 オアフヌイ:(6) 王が忠告を聞き入れる


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(前回からの続き)

王は人肉に取り憑(つ)かれた

オアフヌイの臣民たちは、こんな風にほのめかし始めました(*1)。

 

「わしらの若い王は、あの饗宴で人肉の味を覚えて、病みつきになったのだ。

そして今では王の残忍な食欲が、あの恐ろしい料理を追い求めているのだ。

 

だから彼は王室のあらゆる慣例を破って、身分が下のあいつらを頻繁に訪ねるのだ。」

 

人々の不満が高まる

オアフヌイが彼の新しい友達たちと親しくすることに、人々は反対でした。

 

そしてそれは次第に、公然と口にされるようになりました。

しかも、初めはささやくようだった声が、だんだんと声高にかつ激しくなって行きました。

 

側近の忠告を聞き入れる

これに気付いた王の側近の首長たちや高位の神官は、不安に駆(か)られました。

 

そこで彼らは王に、人々が噂している訪問を、やめるよう懇願しました。

さらに、もしもやめなければ、その先何が起きようが彼らは責任を負えない、と詰め寄りました。

 

こうして王は、彼らの忠告を聞き入れざるを得なくなりました。

そして、ロの家には近づかない、と約束したのでした(N.1)。

 

それ以後、王はかなり長い間、この約束を守り続けました。

(次回に続く)

 

 

(ノート)

(N.1) ロの家(Lo's):

「ロの家」とは、「ロ・アイカナカの家」を略記したものです。 原文も"Lo's"と略記されていますが、これまでの記述から "Lo = Lo Aikanaka"であることがわかります。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.