夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

123 オアフヌイ:(10) 遺骨を首に巻く


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(前回からの続き)

亡霊の言葉は本当だった

レフアヌイは悩み抜いた末、彼が最も信頼している従者を、呼び起こしました。

そして真夜中過ぎに、2人はワイアルアを後にして家に向かいました。

 

彼らが王家の敷地内に着いたのは、夜明けでした。

2人はまず初めに、息子の霊が話していた、レフアの木の所に行きました。

 

見上げると木の枝に囲まれて、確かに2つの小さな頭蓋骨がありました。

それは大きな網目の漁網(ぎょもう)に入れられて、ぶらぶら揺れていました。

 

息子らの遺骨を首に巻く

それからレフアヌイは、この木の下にかがみ込みました。

 

そして霊に教えられた根のあたりで、木の葉や緩んだ土を掻(か)き取りました。

埋められていたタパ布の包み を広げて見ると、中には2人の子供たちの骨が入っていました。

 

父は再び立ち上がると手を伸ばして、木の枝から頭蓋骨が入った網をつかみ取りました。

そしてその中にタパ布の包みを入れると、自分の首に巻き付けました。

 

従者を従え仇討ちへ

脇(わき)に控えていた従者は、もの静かにそして悲嘆に暮れて、その光景を見守っていました。

そして彼は、それが何を意味しているのかを、十分に理解したのでした。

 

父は石手斧(いしておの)を1つ手に入れると、王の寝家(ねや)へ向かいました(N.1)。

従者は、依然として彼の後につき従っていました。

(次回に続く)

 

 

(ノート)

(N.1) 寝家(sleeping-house):

かつてのハワイでは、首長(chief)の屋敷内には幾つもの家があり、各々の用途が決められていました。ここに登場した「寝家」は寝るための家で、夫婦はここで一緒に寝ていました。しかし食事は男女別々に取るので家も別々で、男食堂(men's eating house)と女食堂(wemen's eating house)がありました(*2)。

 

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.

(*2) D.D.K.Mitchell(1992): Resource Units in Hawaiian Culture, 1992 Reviced Edition, Kamehameha Schools, p.198-199.