(前回からの続き)
亡霊の言葉は本当だった
父レフアヌイは悩み抜いた末、彼が最も信頼している従者を、呼び起こしました。
そして真夜中過ぎに、2人はワイアルアを後にして家に向かいました。
彼らが王家の敷地内に着いたのは、夜明けでした。
2人はまず初めに、息子の霊が話していた、レフアの木の所に行きました。
見上げると木の枝に囲まれて、確かに2つの小さな頭蓋骨がありました。
それは大きな網目の漁網(ぎょもう)に入れられて、ぶらぶら揺れていました。
息子らの遺骨を首に巻く
それからレフアヌイは、この木の下にかがみ込みました。
そして霊に教えられた根のあたりで、木の葉や緩んだ土を掻(か)き取りました。
埋められていたタパ布の包み を広げて見ると、中には2人の子供たちの骨が入っていました。
父は再び立ち上がると手を伸ばして、木の枝から頭蓋骨が入った網をつかみ取りました。
そしてその中にタパ布の包みを入れると、自分の首に巻き付けました。
従者を従え仇討ちへ
脇(わき)に控えていた従者は、もの静かにそして悲嘆に暮れて、その光景を見守っていました。
そして彼は、それが何を意味しているのかを、十分に理解したのでした。
父は石手斧(いしておの)を1つ手に入れると、王の寝家(ねや)へ向かいました(N.1)。
従者は、依然として彼の後につき従っていました。
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) 寝家(sleeping-house):
かつてのハワイでは、首長(chief)の屋敷内には幾つもの家があり、各々の用途が決められていました。ここに登場した「寝家」は寝るための家で、夫婦はここで一緒に寝ていました。しかし食事は男女別々に取るので家も別々で、男食堂(men's eating house)と女食堂(wemen's eating house)がありました(*2)。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.
(*2) D.D.K.Mitchell(1992): Resource Units in Hawaiian Culture, 1992 Reviced Edition, Kamehameha Schools, p.198-199.