夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

151 カアラとカアイアリイ:(5) カアラの甘い香り


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(前回からの続き )

ひときわ輝くカアラ

この島々の恐れ多き大王の前に、大勢の若い女性たちが集まっていました(*1)。

そのなかで、ひときわ輝いていたのがカアラ、 「甘い香りの娘」でした。

 

彼女の15の太陽は、彼女の甘い褐色の顔を、柔らかい黄金色に輝かせ始めたところでした。

そして、彼女の大きくて丸い優しい目は、やがて衰え消えゆく炎を、未だ知りませんでした。

 

彼女は、木の葉のパーウーを身に着けていました(N.1)。

 

しかし、首や両腕など彼女の若い体はどこも、柔らかく艷(つや)やかに輝いていました。

その輝きは、あたかも夜空に昇りはじめた月のようでした。

 

フラグランス(芳香)の女

彼女の肌は、若さ溢(あふ)れんばかりに輝いていました。

 

そのほのかで健康的な匂いは、木立に咲き誇る花々と混じり合いました。

こうして彼女が漂わせる香りは、その名もふさわしく 「フラグランス」 と呼ばれました。

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) 木の葉のパーウー (leafy pa-u) : 

 

 

パーウーはハワイ語で、女性が腰に巻くサロン(腰巻)やスカートです。このパーウーの素材の中で最も一般的だったのは、カパ(kapa)と呼ばれる樹皮から作った布です。

一方、本文では "leafy pa-u"と記されているので、素材は木の葉です。木の葉の中でも最もポピュラーなのは ティー・リーフ(t-leaf)で、フラのスカートなどにも使われています。

 

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson, p.156-180.