夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

152 カアラとカアイアリイ:(6) この島はエデンの園


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(前回からの続き )

島の暮らしは健康的

文明の波がこの島々に押し寄せる前、人々の生活は健康的で清潔でした(*1)。

 

彼らはいつも水浴びをしては、穏やかなそよ風を楽しんでいました。

ですから、しなやかできびきびした手足は、頑強でぴかぴか輝いていました。

 

輝く皮膚には花輪がお似合い

彼らは、衣服で気を揉(も)むことはありませんでした。

丈が長くて汗をかくガウンなどは、身に着けなかったのです。

 

それどころか、彼らの滑らかでピカピカの皮膚が、太陽の光を跳ね返していました。

この皮膚こそが彼らに、あのように豊かで浅黒い魅力を与えたのでした。

 

恐らくこのような人々は、我々の衣服のどれをとっても長く着れないし、また生活して行けないでしょう。

彼らにぴったりの衣服は波の花、もしくは、木立の花や葉から作った花飾りなのです。

 

あたかもエデンの園

そよ風が、肌の褐色と木々の緑色を、心地良く混ぜ合わせます。

 

若々しく柔らで薄い琥珀色の頬(ほお)が、真っ赤な血液の流れで紅潮する中で、

彼女たちは、島々の匂いがする常緑樹の花輪で飾られるのです。

 

この光景を見たあなたは、それが私たち欧米社会の詩歌の世界と同じだ、と気付くでしょう。

そしてまたそれが、エデンの園にある甘い自然のままの優雅さ、であることを知るでしょう。

 

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson, p.156-180.