(前回からの続き )
島の暮らしは健康的
文明の波がこの島々に押し寄せる前、人々の生活は健康的で清潔でした(*1)。
彼らはいつも水浴びをしては、穏やかなそよ風を楽しんでいました。
ですから、しなやかできびきびした手足は、頑強でぴかぴか輝いていました。
輝く皮膚には花輪がお似合い
彼らは、衣服で気を揉(も)むことはありませんでした。
丈が長くて汗をかくガウンなどは、身に着けなかったのです。
それどころか、彼らの滑らかでピカピカの皮膚が、太陽の光を跳ね返していました。
この皮膚こそが彼らに、あのように豊かで浅黒い魅力を与えたのでした。
恐らくこのような人々は、我々の衣服のどれをとっても長く着れないし、また生活して行けないでしょう。
彼らにぴったりの衣服は波の花、もしくは、木立の花や葉から作った花飾りなのです。
あたかもエデンの園
そよ風が、肌の褐色と木々の緑色を、心地良く混ぜ合わせます。
若々しく柔らで薄い琥珀色の頬(ほお)が、真っ赤な血液の流れで紅潮する中で、
彼女たちは、島々の匂いがする常緑樹の花輪で飾られるのです。
この光景を見たあなたは、それが私たち欧米社会の詩歌の世界と同じだ、と気付くでしょう。
そしてまたそれが、エデンの園にある甘い自然のままの優雅さ、であることを知るでしょう。
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson, p.156-180.