(前回からの続き)
マカケハウが走る
マカケハウは、水を蓄えたヒョウタンを荒々しく投げ捨てると、急斜面を駆け下りました。
そして広大な渓谷を横切ると、それを縁取る丘を超えて、突き進みました。
そこでは嵐の暴風雨が、激しく吹き荒れていました。
彼はその中を悶(もだ)え苦しみながら、丘の斜面を駆け下り、全力で岸辺に向かいました。
荒れ狂う海
海面ははっきりと上昇していました。
荒れ狂ったように押し寄せる波の、活き活きとした泡立ちで、岸辺は真っ白でした。
襲いかかる大波は、轟音(ごうおん)を立てて岸辺に激突します。
それと呼応するかのように、暴風がビュービューと唸(うな)り声を上げます。
あー! この一寸先も見えない嵐の中で、「涙でかすんだ目(マカケハウ)」 は 、
一体どこで、彼の愛する人を見つけろと言うのでしょう?
潮を吹く洞窟
山のように盛り上がった海が、マラウエアの洞窟に襲いかかり、その入口を塞(ふさ)いでしまいました。
すると洞窟内に閉じ込められた空気は、ブクブクと轟音(ごうおん)を立てながら、侵入した激流を豪快に突き返します。
こうして、洞窟に襲いかかった海水は、壮大な水しぶきの流れとなって、洞窟から吹き出すのです。
これはまさに、この世を構成する物質の戦い、自然の猛威の戦いであり、
強健な男たちの闘争心を、くすぐり掻(か)き立てるものでした。
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 16. The Tomb of Puupehe, A Legend of Lanai, From "The Hawaiian Gazette", p.181-185.