夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

143 プウペヘの墓:(5) 潮を吹く洞窟


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(前回からの続き)

マカケハウが走る

マカケハウは、水を蓄えたヒョウタンを荒々しく投げ捨てると、急斜面を駆け下りました。

そして広大な渓谷を横切ると、それを縁取る丘を超えて、突き進みました。

 

 

そこでは嵐の暴風雨が、激しく吹き荒れていました。

彼はその中を悶(もだ)え苦しみながら、丘の斜面を駆け下り、全力で岸辺に向かいました。

 

荒れ狂う海

海面ははっきりと上昇していました。

荒れ狂ったように押し寄せる波の、活き活きとした泡立ちで、岸辺は真っ白でした。

 

襲いかかる大波は、轟音(ごうおん)を立てて岸辺に激突します。

それと呼応するかのように、暴風がビュービューと唸(うな)り声を上げます。

 

あー! この一寸先も見えない嵐の中で、「涙でかすんだ目(マカケハウ)」 は 、

一体どこで、彼の愛する人を見つけろと言うのでしょう?

 

潮を吹く洞窟

山のように盛り上がった海が、マラウエアの洞窟に襲いかかり、その入口を塞(ふさ)いでしまいました。

 

すると洞窟内に閉じ込められた空気は、ブクブクと轟音(ごうおん)を立てながら、侵入した激流を豪快に突き返します。

こうして、洞窟に襲いかかった海水は、壮大な水しぶきの流れとなって、洞窟から吹き出すのです。

 

これはまさに、この世を構成する物質の戦い、自然の猛威の戦いであり、

強健な男たちの闘争心を、くすぐり掻(か)き立てるものでした。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 16. The Tomb of Puupehe,  A Legend of Lanai,  From "The Hawaiian Gazette", p.181-185.