(前回からの続き)
カカアラネオのフェザー クローク
最初のフェザー クロークは、「アフ オ カカアラネオ」の名で知られ、ビショップ博物館が所蔵している、と言われています(*1)(N.1)。
そのフェザー クロークは、かつて公式行事において、ナヒエナエナ王女により、パーウー、すなわちスカート、として使用されました。
彼女はカメハメハⅡ世およびⅢ世の、実の妹です(N.2)。
網に羽を編み込んで作る
古代ハワイ人のアフウラは目の細かい網で出来ていますが、その網に編み込まれた無数の羽根により、すっぽりと覆われています。
それらは単色で1種類の羽根から構成されているか、もしくは、2、3色の大きな模様が入っています。
羽はオロナで作ったより糸を使って、2、3枚ずつまとめて結び付けられました。
この作業工程のことを、ウオと呼んでいます。
次にこの羽根の束(たば)が、ベースとなる網の中に編み込まれました。
ここで網は、所定の形状と寸法に精確に合わせて、予(あらかじ)め作ってありました。
大変な労力だが耐久性も抜群
フェザー クローク作りの一連の作業は、労力を要する上に複雑で難解でした。
そのため、1着のクロークを仕上げるのに、膨大な年月を要しました。
一方、その耐久性については、あのカカアラネオのクロークを見れば明らかです。
何と言っても、それは数百年も前に作られたものですから。
(終わり)
(ノート)
(N.1) アフ オ カカアラネオ(Ahu o Kakaalaneo):
「アフ オ カカアラネオ」の、「アフ('ahu)」 は 「アフウラ('ahu 'ula)」 の短縮形、「オ(o)」 は所有を示す前置詞、そして「カカアラネオ(Kakaalaneo)」はマウイ島の王の名前です(*2)。ここで、「アフウラ」は鳥の羽で飾ったマント、すなわち「フェザー クローク」です。
従って、ハワイ語の 「アフ オ カカアラネオ」は、「カカアラネオ王のフェザー クローク」を意味する語です。
(N.2) ナヒエナエナ(Nahienaena):
ナヒエナエナは、1815年、カメハメハ大王と聖なる妻ケオプオラ二(Keopuolani)の間に生まれた王女です。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E. M. Nakuina, p.147-155.
(*2) M. K. Pukui, S. H. Elbert(1986) : Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press.