夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

135 アフウラ:(9) 彼女は王女にふさわしい


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(前回からの続き)

彼女はこの島の王女にふさわしい

しかしこのお話しの主人公は、この上ない慎(つつし)み深さと忠誠心から、こう言いました(*1)。

 

「いいえ私は、彼女の妻ではなくて、彼女の保護者になりましょう。

彼女に相応(ふさわ)しいのは、私よりももっと地位の高い人です。

 

もしも私を信じて彼女を預けてくれるならば、彼女を私のご主人の所に連れて行きましょう。

なぜって、彼女はとても美しく魅力的なので、私たちが愛するこの島の、王女にふさわしいからです。」

 

いつもあなたを待っている

すると父は答えました。

「彼女はあなたのものです。 あなたの思うようにして下さい。

 

言ってみれば、あなたが彼女を創造したのですから。

もしも、あなたがいなかったら、彼女は今ごろ一体何処(どこ)にいることやら?

 

あなたにお願いしたいのは、唯これだけです。

どんなことがあっても、いつも、このことを忘れないで下さい。

 

『あなたには、ここに両親と親族が居ます。

そして家庭も。-- あなたがこれらを選びさえすれば、何時(いつ)でも。』」

 

ラハイナへ向かう

それからエレイオは、「私がご主人の所に帰る前に、フェザー クロークを完成させて下さい。」 とお願いしました。

 

すると、フェザー作りの出来る人が勢ぞろいして、すぐに作業が始まりました。

そこには、あの美しい少女、生き返った少女の姿も見られました。

 

彼はこの時、彼女の名がカニカニアウラだと知りました。

 

そしてフェザークロークが完成すると、彼はその少女を連れて、ラハイナに帰る旅に出ました。

彼にはフェザークロークと残ったアヴァがあるので、もはや呪文を唱えることはありませんでした。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E. M. Nakuina, p.147-155.