(前回からの続き)
彼女はこの島の王女にふさわしい
しかしこのお話しの主人公は、この上ない慎(つつし)み深さと忠誠心から、こう言いました(*1)。
「いいえ私は、彼女の妻ではなくて、彼女の保護者になりましょう。
彼女に相応(ふさわ)しいのは、私よりももっと地位の高い人です。
もしも私を信じて彼女を預けてくれるならば、彼女を私のご主人の所に連れて行きましょう。
なぜって、彼女はとても美しく魅力的なので、私たちが愛するこの島の、王女にふさわしいからです。」
いつもあなたを待っている
すると父は答えました。
「彼女はあなたのものです。 あなたの思うようにして下さい。
言ってみれば、あなたが彼女を創造したのですから。
もしも、あなたがいなかったら、彼女は今ごろ一体何処(どこ)にいることやら?
あなたにお願いしたいのは、唯これだけです。
どんなことがあっても、いつも、このことを忘れないで下さい。
『あなたには、ここに両親と親族が居ます。
そして家庭も。-- あなたがこれらを選びさえすれば、何時(いつ)でも。』」
ラハイナへ向かう
それからエレイオは、「私がご主人の所に帰る前に、フェザー クロークを完成させて下さい。」 とお願いしました。
すると、フェザー作りの出来る人が勢ぞろいして、すぐに作業が始まりました。
そこには、あの美しい少女、生き返った少女の姿も見られました。
そしてフェザークロークが完成すると、彼はその少女を連れて、ラハイナに帰る旅に出ました。
彼にはフェザークロークと残ったアヴァがあるので、もはや呪文を唱えることはありませんでした。
(次回に続く)
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E. M. Nakuina, p.147-155.