夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

117 オアフヌイ:(4) この豚肉は美味い


スポンサードリンク

(前回からの続き)

この豚肉は美味(うま)い

礼を尽くしたご馳走会の返礼として、今度は南方の首長が饗宴を催しました(*1)。

そして、王はこのよそ者たちと一緒に、豪華な食事をとりました。

 

ここで王の前に出されたメイン料理は、見かけは豚肉のようでした。

しかし本当は豚肉ではなく、人間の肉だったに違いない、と強く疑われたのでした。

 

王はこの料理が彼の好みにピッタリだと感じて、大いに気に入りました。

そして首長ロ・アイカナカに、それとなくこう言いました。

 

「あなたのアイプウプウ(料理長もしくは執事)は、王家のコックよりも一枚上手だ。

豚肉の下拵(したごしら)えや調理方法を、より良く理解している。」

 

ロ・アイカナカは王の新しい友

ロ・アイカナカは、これだ!と気付きました。

 

こうして若い王は極めて頻繁に、この南国人の食卓の客になったのでした。

と言っても、実際に料理が並んだのは食卓ではなく、床に敷かれたマットの上でした。

 

ところで、王家のお客様をお招きするには、何らかの大義名分が掲げられたことでしょう。

例えば 「コナネ(西洋碁に似たゲーム)のお手合わせを、王にお願いする。」 などです。

 

 

また、さまざまな運動や戦闘的スポーツの、競技会が企画されたことでしょう。

そしてオアフヌイには審判をお願いしたり、また単にご観戦頂いただけかも知れません。

 

当然のことですがこの手の友好訪問では、スポーツや食事が終わった後も、王は暫(しばら)くの間そこに留まり、ご歓談されると期待されたことでしょう。

 

このように、あれこれとかこつけては、王はかなり多くの時間を、この新しい臣民で友人でもある人たちと過ごしました。

(次回に続く)

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.