夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

112 プナホウの泉:(8) 荒れ地がカロ水田に変わる


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(前回からの続き)

荒れ地がカロ水田に変わる

その後、カウアワアヒラ(男の子)は、カロ(タロ)の畑を幾区画か作りました(*1)。

 

人々は豊かな水に魅せられ、また、その水のお陰で肥沃になった、土地に魅せられました。

そして次々とこの地にやって来ては、あちらこちらに住み着くようになりました。

 

彼らは双子の子供たちに申し出て、2人を首長と仰ぎつつ、農夫として働いたのでした。

 

次々と荒れ地が開墾され、カロ水田が作られて行きました。

こうしてこの地は、新しい入植地として栄え始めたのでした。

 

 

そのなかで男の子が造った泉は、「カ・プナホウ(新しい泉)」として知られるようになりました(N.1)。

そしてこの名は入植地だけでなく、その周囲ににも知れ渡って行きました。

 

父が義母の虐待を知る<

ちょうどその頃、双子の子供たちの父カハアケアが、ハワイ島から戻って来ました。

 

そして、彼はこんな噂(うわさ)を耳にしたのでした。

「彼が愛する子供たちは、ずーっと義母に虐待され続けていた。」

 

これを聞いた彼は義母ハウェアを殺すと、彼自身も自殺してしまいました。

 

今も残る 「ロッキー・ヒル」 と 「ハウェア」

「ロッキー・ヒル」は、子供たちの第2の故郷とも言える、あの岩肌の丘の名前です。

この名前は、子供たちの父の頑強な意志、に因(ちな)んで付けられました。

 

今でもこの丘は、この名前で人々に知られています。

 

一方、「ハウェア」 は、子供たちの義母の名前です。

しかしハワイアンの心の中では 、この出来事以来、「残酷な義母」を意味する語になっています。

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) カ・プナホウ (Ka Punahou) :

カ・プナホウはハワイ語で、カ(ka)は定冠詞です。プナホウ は 合成語で、プナ(puna)は「泉」、ホウ(hou)は「新しい」 を意味します。従って、 カ・プナホウは 「新しい泉」 を意味します。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅻ. The Punahou Spring. Mrs. E. M. Nakuina, p.133-138.