夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

111 プナホウの泉:(7) 水浴び場が出来た


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(前回からの続き)

カナワイの池に潜る

それから、ワアヒラの雨は、カナワイの池に行って水の中に潜りました(*1)。

すると地下水路は、水の神により、水を引きたい場所まで開通していました。

 

彼はその地下水路を泳いで通り抜けて、今では 「プナホウの泉」の名で知られる所で、地上に出て来ました(N.1)。

 

プナホウに泉が湧く

どっと押し寄せる水が、地面を突き破って地上に噴き出しました。

そして間もなくすると、小さな水溜(みずた)まりが出来るほどになりました。

 

男の子は水溜まりの周囲に土を盛り、壁を立ち上げました。

また余分な水が流れ出るように、壁に狭い排出口を作りました。

 

 

水遊び場が出来た!

高齢の水の神の、目に見えない助けを借りながら、男の子はすぐさま次の作業にかかりました。

双子の女の子が泳ぐのに良い大きさの、池を掘り始めたのです。

 

お昼寝から目覚めた彼女は、あっと驚きました。

今朝までは、乾ききった地面だけだった所に、素敵な水が一面に広がっていたのですから。

 

その池の中では男の子が、泳いだり水を跳ねたりしていました。

そして楽しそうに、こう女の子に呼びかけました。

 

「こっちに来て、水浴びをしてご覧よ!」

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) プナホウの泉 (Punahou Spring) :

プナホウの泉からは現在も泉が湧き出しており、「ユリが池(Lily Pond)」と呼ばれる池になっています。

この池のある場所は、プナホウ・スクールの敷地内で、中央付近に建つThurston Chapelの、南隣です。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅻ. The Punahou Spring. Mrs. E. M. Nakuina, p.133-138.