(前回からの続き)
カナワイの池に潜る
それから、ワアヒラの雨は、カナワイの池に行って水の中に潜りました(*1)。
すると地下水路は、水の神により、水を引きたい場所まで開通していました。
彼はその地下水路を泳いで通り抜けて、今では 「プナホウの泉」の名で知られる所で、地上に出て来ました(N.1)。
プナホウに泉が湧く
どっと押し寄せる水が、地面を突き破って地上に噴き出しました。
そして間もなくすると、小さな水溜(みずた)まりが出来るほどになりました。
男の子は水溜まりの周囲に土を盛り、壁を立ち上げました。
また余分な水が流れ出るように、壁に狭い排出口を作りました。
水遊び場が出来た!
高齢の水の神の、目に見えない助けを借りながら、男の子はすぐさま次の作業にかかりました。
双子の女の子が泳ぐのに良い大きさの、池を掘り始めたのです。
お昼寝から目覚めた彼女は、あっと驚きました。
今朝までは、乾ききった地面だけだった所に、素敵な水が一面に広がっていたのですから。
その池の中では男の子が、泳いだり水を跳ねたりしていました。
そして楽しそうに、こう女の子に呼びかけました。
「こっちに来て、水浴びをしてご覧よ!」
(次回に続く)
(ノート)
(N.1) プナホウの泉 (Punahou Spring) :
プナホウの泉からは現在も泉が湧き出しており、「ユリが池(Lily Pond)」と呼ばれる池になっています。
この池のある場所は、プナホウ・スクールの敷地内で、中央付近に建つThurston Chapelの、南隣です。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅻ. The Punahou Spring. Mrs. E. M. Nakuina, p.133-138.