夢の国ハワイの昔話

ハワイには長く口承されてきた昔話があります。ここでは、それらを少しずつご紹介していきます。

107 プナホウの泉:(3) 双子を義母が追う


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(前回からの続き)

虐待に耐え切れず家を出る

義母の虐待は次第にひどくなり、双子の子らは遂に耐えられなくなりました(*1)。

 

食べ物や衣服そして水を取り上げる、それだけではありませんでした。

ことあるごとに、彼らを軽蔑したり辱(はずかし)めたりしたのでした。

 

 

彼らは絶望の淵に追いやられ、コナフアヌイへと逃げました(N.1)。

そこは、「ヌウアヌのパリ」 上に聳(そび)える山の峰です。

 

 

ところが暫(しばら)くすると、冷酷な義母ハウェアに見つかり、追い払われてしまいました。

そこで彼らは、マノア渓谷の一番奥に行きました(N.2)。

 

義母は双子を連れ戻そうとした

義母は双子の子らが、日々の虐待から逃れていることに、大変怒っていました。

そこで彼らを見つけ出そうと、ありとあらゆる場所を捜し回りました。

 

そして遂に彼らを見つけたのは、あの虹のお陰でした。

マノア渓谷の一番奥にはいつも虹が架かり、それには雨と霧が付き物だったからです(N.3)。

 

子供たちは再び追い払われ、カアラヘ戻るように言われました。

そうすれば、常に義母の監視下にいることになるからです。

(次回に続く)

 

(ノート)

(N.1) コナフアヌイ (Konahuanui) , ヌウアヌのパリ( Pali of Nuuanu) :

ヌウアヌ渓谷の一番奥にある切り立った断崖絶壁が 「ヌウアヌのパリ」です。そのなかで、標高が一番高い地点(960m)が「コナフアヌイ」です。コナフアヌイは、オアフ島の東岸沿いに長く延びる、コオラウ山脈全体の最高峰でもあります。 

(N.2) マノア渓谷 (Manoa valley) :

マノア渓谷はヌウアヌ渓谷のすぐ東隣に並んでいる谷です。

(N.3) 雨と霧 (rain and mist) : 

双子の男の子は「ワアヒラの雨」、女の子は「山の霧」と呼ばれていました。ですから彼らを捜す時も、雨と霧が目印になったのでしょう。

 

(注記)

(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅻ. The Punahou Spring. Mrs. E. M. Nakuina, p.133-138.